2014年7月9日水曜日

子育てとシリコンバレーの転職事情 1/3

たった今次男からテキストメッセージが入った。



正社員として正式に雇われることになった、ということ。



5月に転職して以来コントラクター(契約社員)として働いていた。



6ヶ月後の評価が良ければ正社員にしてもらえる、という約束だった。



だが、それが早まって2ヶ月で正社員になることが決まったらしい。



息子たちは27歳と24歳だ。



自分の子育てを思い出しもう一回繰り返す体力と体力は残ってないなあ、とつくづく思う。


どこでも寝てしまう次男だった


特に次男は小学生の時LD(Learning Disability、学習障害)と診断されていたので、親もよく学校に呼び出された。



スポーツは得意だったが、勉強は本当にできなかった。



だから、テストで10点(100点満点)を取れば褒め、20点になると成績が上がったことを褒めた。



とにかく何かにつけて褒めて褒めて褒めまくった。



そうするしかなかった。



学校では一言もしゃべらなかった。



そんな次男が心配で、毎週クラスにボランティアとして入り、工作を手伝ったりした。



そんな時次男の同級生たちが私に聞くのだ。


『次男ちゃんは家ではしゃべるの?』と。

とにかく寝る

1年生の時の成績表の所見にはこう書かれていた。



『彼(次男)はクラスの中で一切声を出しません。お遊戯など一切の活動に参加しません。殻に閉じこもったままです。』とネガティブなことばかりだ。



このままでは登校拒否になってしまうのではないか。



中学で義務教育が終わったあとどういう人生を歩むのだろう、と不安だった。



学芸会に行く。



他の子供たちは歌をうたいながらお遊戯をする。



が、次男だけは直立不動で口も開けない。



他の子は楽しそうに歌っているのに、次男だけが別世界にいるようだ。



つらかった。



今から考えると本当に何でもないことなのに、当時は深刻だった。



2年生の担任からはカウンセラーに定期的に会うことを薦められた。



これは学校区が精神科医を雇い、問題のある子にマンツーマンで週に1度1時間カウンセリングをして、問題分析をするのだ。


ひたすら寝る


カウンセリングとは言っても、一緒にゲームをしながら問題を見つけ解決しようとするらしい。



断った。



次男は早生まれ。



ただ単に遅咲きなのかもしれない。



いずれ殻から出て来るかもしれないので、その日を待ってください、と担任に頼んだ。



本当の理由はそのカウンセラーの外見と話し方に疑問を感じたからだ。



ものすごい厚化粧とせかすような話し方。



これでは子供に安心感を与えないだろう。



担任は日系人の先生で、とても優しい人だった。



そうですね、もう少し様子を見ましょう。



実は私もカウンセリングに疑問を持っています。



悪い結果を産むこともあるからです。



ただ、週に何度か授業中に一人だけ他のクラスに行かせて、補習をすることにしましょう。



そして、家庭教師も雇ってください。



もう少し勉強についていくことができるように努力しましょう、と言う。



それはいいことかもしれない。



学校で学んでいることが少しでも理解できるようになれば、自信もつくだろう。



小学校の隣に住むミセスSに家庭教師を頼んだ。

突然ひっくり返って寝る


ミセスSは穏やかに話す50代の女性で、ニコラスという大きな犬を飼っていた。



ニコラスはミセスSの横にいつも寝そべっているのだが、ソファぐらいの大きさの穏やかな犬だ。



次男はその犬に会うのが楽しみで、ミセスSの所に1年間通った。



そのミセスSが次男の3年生の担任になった時は嬉しかった。



が、心配は続く。



クラスの中では全く発言しない。



自分の番が来ても全く口を開かない。



ショー・アンド・テル(show and tell)という課題がある。



これは何かを聴衆に見せながら、そのことについて話すというものだ。



子供たちはこれを楽しみにしていて、ペットのハムスター、野球選手のサイン入りボール、などを持って行きそれについて皆の前で話すのだ。



勿論次男はこれにも一切参加しない。



が、ある日教室に次男を迎えに行った時、ミセスSに『ちょっと話したいので残ってください』と言われた。



ミセスSの話、それは驚愕の内容だった。



その日を境にして次男の人生は180度転換した。



続く。