2014年7月10日木曜日

子育てとシリコンバレーの転職事情 2/3

長男は今日シアトル旅行から帰って来る。この人、メールというものをしてこない。こちらからしても殆ど返信がない。我が家に住んでいるのに、殆ど顔を合わせることもない。週末はガールフレンドの家で過ごすので、話をする機会も余りない。ない、ない、ない、なのだ。

旅行中はクレーター・レイクからメールが来たのが最後。夕べどこにいるんだ?と問い合わせてやっと返事が来た。Bandonというオレゴンの街にいるらしい。今晩帰宅予定だ。我が家まで900㌔ぐらいあるらしい。

数年前にヨセミテにハイキングに行き、初めて難関(長男にとって)のトレイルを制覇した。その時見た景色に感動してハイキング好きになったのだ。今回の目的はそういう自然の中でハイキングをすることらしい。そのために先月SUBARUの四駆まで買った。

人生の転機になったヨセミテでのハイキング
今晩長男が帰宅したら話を聞いて、明日の朝のフライトで関空に飛ぶつもりだった。が、なんというタイミング。大型台風のため明後日の日本着便は欠航になるだろう。どうも今回はなかなか日本に行けない。

荷造りしていたのに
さて、昨日の続き。ミセスSの話は信じられないものだった。

朝のホームルームの時間だった。突然次男が挙手したのだ。ミセスSはびっくりした。次男はクラスの中で一度も声を出したこともなかったのだ。『なあに?』とミセスSは優しく聞いた。次男が立ち上がる。そしてクラスメイトたちに話し始めた。

『アフリカのある国であったことです。とても貧乏な家に子供がいました。貧乏なのでオモチャも何もありません。その子はある日退屈して鼻の穴に豆を詰めて遊び始めました。一つの豆が鼻の穴の奥に入ってしまって出て来ません。お母さんがその子をお医者さんに連れて行きました。お医者さんは無事豆を取り出しました。ところが貧乏なので診察代を払うことができません。怒ったお医者さんは、その豆をその子の鼻の穴に戻してしまいました。』

それは前夜ラジオで私が聞いて、次男に話した『世界のこぼれ話』だった。次男はとてもおもしろいと思ったので、クラスの皆と共有したかったようだ。とても上手に話したんですよ、とミセスSが言う。

長男13歳次男10歳
素直な子供たちは、前日まで全くしゃべらなかった子が突然話し始めた理由なんて考えない。ただただおもしろいお話をしてくれた子、として次男を見るだけだ。次男が殻から出た瞬間だった。その日から冗談を言っては皆を楽しませるようになった。ある日突然コミュニケーション・スキルが花開いたのだ。

しかし次男はわがままでもあった。大人しい長男は小さい頃からいつも我慢し、色々な所で身を引いているようだ。私は殆どの場合長男をかばって次男を叱らねばならなかった。でも、次男のわがままにはどんどん拍車がかかるようになる。なにしろ赤ちゃんの時も、泣き始めると2時間の大音響が鳴り響いていたのだ。

長男はいつも静か
忍従の人なのだろうか
苦難は続く。中学生になるとラクロスを始めた。納得のいかない試合だった日は、自分の部屋のドアを壊れそうな勢いで閉めて、出て来ないのだった。こういうエピソードは今から考えると何でもないことだ。が、当時子育て真っ最中の時は『この子は将来どうなってしまうのだろうか。感情をコントロールできない人間になってしまうのかもしれない。』とハラハラする。

16歳になるとすぐ車をほしがった。最初は古い日本車を探していた。が、16歳は無謀な運転をするのではないか、高速道路で事故があった場合を想定して、頑丈な車を買う方がいいのではないか、という理由でBMWを探すようになった。19歳で運転し始めた長男は、中古のレクサス四駆(ハリアー)を運転していた。

中古車のBMWを広告で見つけて個人宅に見に行った。ガレージから出て来た車を見て夫と次男が恋に落ちた。買った。しかしこの車がその後、様々な問題を引き起こすようになったのだ。


続く。