怒り、悲しみ、喜びの感情が手に取るようにわかる。
彼はうつ病と戦っていたそうだ。
だからロビン・ウィリアムズのことを、『あんなに冗談ばかり言う明るい人なのだし、まさかうつ病患者ではないだろう』と考えるのは間違いだということだった。
こういうこと(ウィリアムズの哀しさ)は感じる人と感じない人に分けられるのかもしれない。
家族はどうだろう。
まず、次男(仕事中)にチャットで聞いてみた。
次、仕事から帰宅し食事中の長男に聞く。
小さい頃長男をお医者さんや歯医者さんに連れて行くのは楽だった。
どんなに痛い治療でも長男はじっと我慢する。
かなりの苦痛を伴う治療を受けた時も、長男は必死で我慢し、治療が終わった時にツーッと一筋の涙をこぼすだけだった。
次男は歯医者さんの診察室に入る前から、大声でわあわあ泣くので、歯医者さんに『Dramatic Entry(劇的な入場)』と言われて、いつも恥ずかしかった。
プレゼントをもらうと長男が下を向いて嬉しそうな顔をするのに比べて、次男は飛び回って喜ぶ。
姑にも『この子は得な子ねえ。』と言われていた。
次男の様子を見た人は、次々にプレゼントを買いたくなるだろうと姑は言う。
大人になって次男も怒りは表さなくなったが、基本的な性格は二人ともそのままだ。
俳優ロビン・ウィリアムズが亡くなった。
自殺だと憶測されている。
彼はアメリカ中の人に愛される人だった。
映画ジュマンジの中での役柄と同じように、富豪の一人息子として生まれ大邸宅で育ったそうだ。
スーパーマン役で有名だったクリストファ・リーブとは親友で、金銭的にも精神的にも最後までリーブをサポートしたということも聞いた。
彼はうつ病と戦っていたそうだ。
昨日も今日もラジオやテレビでは彼のニュースばかりだ。
その中で、うつ病の患者が自分の病気について語ったことが興味深かった。
うつ病は性格的に弱いからかかるのではない。
うつ病にかかっていても明るく振る舞い、普通に職場に来て、楽しそうにご飯を皆で食べるのは病気じゃない人と同じだ。
でも、そうすると周囲の人にはうつ病患者と思われない。
『あんなにおしゃべりして、食欲だってあるじゃないか。仕事を休むなんて、本当はただ怠けているだけではないのか。』と考えてはいけない。
心臓疾患を持つ人が他人には健康に見えるのと同じく、うつ病患者がいつも沈んで見えるわけではない。
だからロビン・ウィリアムズのことを、『あんなに冗談ばかり言う明るい人なのだし、まさかうつ病患者ではないだろう』と考えるのは間違いだということだった。
冗談ばかり言う明るい彼も、うつ状態の彼もそれぞれが彼の人間としての一面なのだ。
これを聞いて目からうろこが落ちるようだった。
初めてうつ病のことが理解できた。
誰だってかかる可能性がある病気なのだ。
彼のことを Sad Clown(哀しいピエロ)と呼ぶ人は多かったそうだ。
ロビン・ウィリアムズが Sad Clownと呼ばれたのはわかる気がする。
彼はどんな舞台に出ても冗談を言い続ける楽しい人だった。
が、なんとなくいつも彼の目に哀しさを感じた。
本当はとても優しく真面目な人なんじゃないか、といつも思っていた。
こういうこと(ウィリアムズの哀しさ)は感じる人と感じない人に分けられるのかもしれない。
そして、そういうことを敏感に感じない人の方が、楽に生きることができるのではないか、と思う。
ちょっとしたことで自分の感情をかき乱されないのではないか、と考えたりする。
家族はどうだろう。
ロビン・ウィリアムズの哀しみを感じたことはあっただろうか。
まず、次男(仕事中)にチャットで聞いてみた。
答え。『彼が生きている時は感じなかったけど、今になって彼のことを考えてみると、哀しい目をしていたなあと思う。』
感受性は10段階の7点ぐらいだろうか。
次、仕事から帰宅し食事中の長男に聞く。
カレイの煮付けの骨を口の中で選り分けながら、長男は目で「ノー」と答える。
でもその目が少し泳ぐ。