が、思い直した。
父の尊厳を甚だしく損なう写真だったからだ。
父の眼には一切の知性が見られない。
そんな父の姿を見るのは本当に苦しい。
昨日診察してくれた若い医者に姉は不信感を持ったようだ。
幻覚を見るのと首が痛い、という症状は髄膜炎でしょう、穿刺検査をしましょう、この病院では無理なのでT病院か国立医療センターに行ってください、という診察だった。
忙しい中、姉は日曜日アプを トリミングに連れて行った |
尿が余り採れなかったので尿検査はできません、癌検査もしましょう、と医師は続ける。
姉は導尿検査だけをしてもらって父を連れて帰った。
導尿を痛がった父にこれ以上痛い検査はさせたくない、と思ったのだ。
一緒に来てくれたホームのスタッフも、医者が提案する検査は老人には酷ですね、と言う。
今朝の熱は6度8分。
血圧も正常。
父はスタッフを大きな声で『おーい』と呼んだらしい。
栄養ゼリーとジュースを飲んだ。
スタッフのMさんによると、父は良くなって来たと感じるとのこと。
もしかしたら少しずつ回復するのかもしれない。
91歳の高齢者のことなので想像がつかない。
2年前肺炎から奇跡的に回復したように、今回も回復するのかもしれない。
今回父が回復したとしても、いつか父は死ぬ。
その日はそう遠くはないだろう。
そのことを考えると、どうやって対処したらいいのか不安になる。
できれば父にはしっかりと回復して、昔のように憎たらしいままで逝ってほしい。