2013年6月24日月曜日

元気のない日

朝9時前にホームに行くと、父は魚のような焦点の合わない目をしてリビングのソファに座っていた。疲れ切っている。スタッフが父は一晩中起きていたと教えてくれた。朝2時間ぐらい寝たようだ、と。何故だろう。幻覚を抑える薬の副作用なのか。森先生の診察が待ちきれない。

ところが父は森先生の所に行くのがいやだ、と言う。とにかく疲れてしまった、とても90歳の老人が何度も何度も行けない、と。先週は何度も行ったのに、とよく覚えている。でも行って診察してもらわないと回復したかどうかわからないよ、と言っても頑として行かないと言う。へとへとなんだということだ。

雑炊と金時豆の朝食
父の姿を見てもそれはわかる。とても病院で3時間以上待つのは無理だろう。どうしたもんか。そこに園長さんが来る。父はまた思い出話をして、元気が出て来た。しかし園長さんがいなくなった途端、また声も出したくないというような疲れた表情をしている。

12時頃帰るよ、と声をかけると「ところであんたと姉ちゃんはどうして一緒に来んのか。」と言う。必ず別々に来る。一人二役しているのではないか、と言いたげだ。まだ猜疑心や不安感が大きいらしい。それなら今晩は二人揃って来ると言ってホームをあとにした。

電車は1時間に4本
あの状態ではまだ完全に回復したとは言えない。突然また幻覚でも見始めて、ベランダから飛び降りようとするんじゃないか、と不安になる。今晩行ってみたら幻覚症状が少し出ているのかもしれない。また夜帰る時「大丈夫なんだろうか。」と不安を感じながら帰ることになるのかなあ、と思った。

帰り道近所のスーパーに寄って父のバックを買う。父は手帳、扇子、補聴器の乾電池などを入れたバックをいつも手放さないのだが、古く小さく使い勝手が悪い。軽い素材でできたダンロップのバックを買ってあげた。1980円。

夕方6時半に行くと父は別人になっていた。晴れやかな顔で食事も完食していた。なんでも午後3時に突然霧が晴れるように頭がクリアになったそうだ。疲れも余り感じない。明後日は森先生の所に行けるかもしれない、と言う。バックを見せたら喜んですぐ詰め替えをしている。全てが何も問題のない父の姿だ。

とりあえず今晩は大丈夫かな、と帰り道また父の要望で扇子を買いに行った。2階のお友達佐野さんにあげたいんだそうだ。明日は9時までに行かないといけない。父の血液検査があるからだ。もしまた猜疑心が少しでもあるなら、注射はこわいと感じるかもしれない。だから9時の注射予定時刻までに行っておきたい。

かろうじて無人駅ではないが

毎日朝は機嫌がいいが夜は悪い、というようなはっきりと定まったパターンというものがない。だから、ホームでエレベーターを降りる時はいつも少し緊張する。また幻覚が始まってソファでバリケードを作って自分の部屋に誰も入れない、という日がまた来るかもしれない、と毎日怖い。

1階リビングから外を見ると鮮やかな紫陽花が満開だった
向こうに見えるのはJR

完全にトラウマだ。