しかし、次男は忙しそうだ。
今日は裁判所で、改名の最終段階であるヒアリングがあるので、8時45分に出頭せよ、と案内があった。
家族5人で4台の車しかないので、私が今日は次男を職場に連れて行って落とす必要があり、その前に次男と一緒にヒアリングに行くことになった。
次男は自分の苗字が嫌いで、以前から私の旧姓に改名したいと言っていた。
結婚を機に改名することにして、まず8月20日に書類を裁判所に提出した。
書類はオンラインでダウンロードすることができるが、提出するには裁判所に出向かないといけない。
改名費用の435ドルを支払って、その場で新しい名前の仮書類を受け取り、今度はそれを新聞社に持って行く。
30日間新聞に、改名しますという広告を出して、どこからもクレームがつかないことを証明しないといけないのだ。
つまり、借金があるから、あるいは犯罪歴を隠すために改名する、ということができないようになっているわけだ。
新聞社のリストはたくさんあり、新聞社によって費用は65ドルから331ドルかかる。
当然だが65ドルの新聞社で1ヶ月間『広告』を載せて、クレームがつかないことを確認して、やっとヒアリングに来い、と言われる。
次男の場合はそれが今日だったわけだ。
実際はヒアリングも何も、裁判所の窓口で最初に受け取った書類を提出して、25ドル支払えば終わり。
なんとまああっけないことよ。
日本では余程の理由がない限り改名はできないらしいが、アメリカではこんなに簡単にできるのだ。
だから、しょっちゅう改名しているスポーツ選手も多い。
とにかくこれで正式に今までのアルファベット8文字の苗字から、4文字苗字になったので、楽になる。
何が大変ってアメリカでは、どこに行っても苗字のスペルを教えてください、と言われるのだが、8文字のスペルを言っても聞いた方はなかなか書きとれない。
だから、何度も何度も言い直さないといけない。
その上8文字の長い苗字は、発音できない人が多い。
私の苗字は4文字の上アメリカ人でも発音しやすいので、次男は以前からこの苗字を好んで使っていた。
次はSocial Security Number(SSN)という社会保障番号(日本でのマイナンバーのようなもの)オフィスに行って、改名手続きをしないといけない。
裁判所から歩いて3分のSSNオフィスに行くと行列ができていた。
が、今日中にこれをすませて、明日はマリッジライセンス、つまり結婚するためのライセンスをマリーと申請に行かないといけない。
今後の手続きは結婚したあとの、免許証や銀行などの苗字変更だ。
マリッジライセンスは、SSNオフィスでの苗字変更手続きをする前でも取れるが、ついでに今日中にSSNの変更手続きをすませておきたい、ということでついて行く。
なんでこうして全てをギリギリになってするかなあ、と思いながらため息が出る。
次男が突然子供に見える。
昨日散髪に行った次男は、いつもの人がいなくて新しい人に散髪してもらったそうだ。
そういえば、昨夜マリーが子供のようになった次男の髪を見て、『え〜〜〜っ!これで結婚式に出るわけ?』とがっかりしていた。
が、次男は自分がどう見えようと執着はないので、手直ししてあげるというマリーを拒絶しているようだ。
だが、マリーの気持ちもわかる。