2013年9月8日日曜日

代講

アダルトスクール秋の学期が始まる。が、父の状態が落ち着かないので、秋と冬の学期は教えないことにして、頼まれた時だけ代講だけすることにした。月曜日が初日だが、この日は代講を頼まれている。日本語の会話がかなりできる生徒が5人ということで、楽しみだ。

この『頼まれた時、代講する。』という文はどうして『頼まれる時、代講する。』ではないのか。ちょうど月曜日の代講の日にこの文法を教えることになっている。でも、この文法は結構ややこしい。毎回教えるたびに自分の頭の中を整理しないと、質問に答えられないかもしれない、とびびる。だからまとめてみよう。

例えばこういう文があるとする。
  1. 『チベットに行く時(A)、ビザを取ります(B)。』
  2. 『チベットに行く時(A)、ビザを取りました(B)。』


日本人ならすんなりと頭に入って来るだろう。でも日本語を母国語としないスピーカーには、1に比べて2はB部分が過去形なのに、どうしてA部分は現在形なのかはっきりしない。

次はもっとむずかしい。

     3.『中国に行った時(A)、ウーロン茶を買います(B)。』
     4.『中国に行った時(A)、ウーロン茶を買いました(B)。』



4は理解できるが、3はどうして未来に起きることなのに『行った時』と過去形を使うのか。生徒たちがこの3を使いこなすのはむずかしい。

まず、1と2の場合。BはAの前に起きる。つまりBの出来事(ビザを取る)が起きる時、Aの出来事(チベットに行く)はまだ起きていない。『寝る時、コンタクトを取ります。』『出かける時、ドアに鍵をかけました。』などの例文がそうだ。この時A部分は現在形になる。


3と4はどうか。AはBの前に起きる。つまりB(ウーロン茶を買う)が起きる時にA(中国に行く)はもう既にすんだ出来事だ。例文としては『疲れた時、お風呂に入ります。』『宿題を忘れた時、泣いてしまいました。』などがある。Aは過去形になる。


『頼まれる時、代講する。』は同時に起きる出来事なら正しい。『寒い時、頭が痛くなります。』のように。だが、代講するのは頼まれたあとだから、やはり『頼まれた時』になる。

ほーら、簡単でしょ?



ところがこれ、教えているうちに毎回『ありゃ?ありゃ?』となるんですよね。