2013年9月14日土曜日

新たな不安

いつものように銀座で食べ物を大量に買って京都に帰って来た。京都の料亭三友居のお弁当を持って父のホームに行く。



ちょうど園長さんとエレベーターの所で会ったので、一緒
に父の部屋に行くと、父はベットに入って座っていた。


どうも元気がない。それに目に光がない。どんよりしている。自分がガンではないかと不安がっているのがわかった。前立腺ガンの心配をしているらしい。昨日目がごろごろするということで、ホームのスタッフに眼科に連れて行ってもらったあと、相談員の説明を聞いて何か誤解したらしい。

お弁当を食べる間もずっとその不安を言い募る。それは父の勘違い、前立腺ガンは去年検査をして、お医者さんに心配ありません、と太鼓判を押されたでしょ?と言うと、そうか、思い出したそうだった、ああ、良かった、と少しホッとしたような表情になる。


 それでもお弁当を食べながら、なんでそんな勘違いをしたのか、ガンかもしれないと不安だった、昨日は眼科に行った?それは全く覚えてない、そうかそうか、去年そういえばお医者さんに前立腺ガンの心配はないと言われたか、それは良かったと何度も繰り返す。

銀座のデパートの話をしても父は数秒後には、ガンかと思った、今日一日不安だった、と繰り返す。2ヶ月前の父に比べると明らかに認知症は進んでいる。なにしろ目つきが違う。歩行もかなりヨチヨチ状態でおぼつかない。伸びたヒゲが老人っぽい印象をもっと強めている。

電動ひげ剃りを渡してひげを剃らせた。その間も同じことを何度も何度も繰り返す。どんなに話をそらせようとしても、すぐ前立腺ガンの不安にもどってくる。スタッフが部屋に入って来たので説明して、不安がったら大丈夫と安心させてください、と頼んで帰ることにした。


7月の父とは明らかに違うが、一番気になったのは一切の笑顔がないことだ。幻覚を抑える薬のせいで無表情になってきているのだろう。機知に富んだ会話ができていた父は、これからゾンビーのようになってしまうのか。

納得してもすぐ忘れてしまう父のために
『ガンの心配はありません』と紙に書いてテーブルの上に置いて来た

これから1ヶ月間毎日通ってできるだけ父の前頭葉を刺激したい。さて、どこまで父は活性化するのだろうか。