2014年9月3日水曜日

腹巻き

父は年中同じ洋服を着ている。このベストがそうだ。夏も着ている。他にもあるが、特にこれが好きらしく、なかなか洗うチャンスがない。腹巻きも腰をサポートするベルトも同じものをつける。

そういえば、父はずっと『ベスト』と呼んでいたのに、最近は『ちょっき』と言わないとわからなくなった。

年がら年中この『ちょっき』を着ている

誰でも自分が好きな洋服というものはあるものだ。が、父の場合特にうるさい。ズボンにはベルトを通せるものがいい、とかズボン下は裾が絞られていないものがいいとか。

お店に行って父のものを探すのは大変だ。長い時間をかけて探す。買っても結局使わなかったというものがどれだけあるか。新品のままタンスの奥にしまわれた洋服や下着が多い。

お店で父のものを探すのは
とても時間がかかる
腹巻きは特に何年も使った、ゆるゆるになったのがいいみたいだ。だから、ずっと父の腹巻きを編んであげようと思っていた。娘に編んでもらったものなら嬉しくて使うだろう。ホームのスタッフにも娘が編んでくれた、と自慢したいだろう。

去年も一昨年もそう思っていた。なのに父の世話で精一杯で編み始めることがなかった。サンノゼにいる時に作ればいいのに。一旦編み始めたら仕上げていただろう。去年までだったら私が編んだ、ということを父は覚えていたかもしれない。でも今年作ってあげても父はそのことをすぐ忘れてしまい、古いボロボロのを使うのではないだろうか。

母にはマーガレットという袖付きの肩掛けを何枚も作ってあげた。昔は自分でもとても凝ったものを作っていたのに、最後の10年は編み物ができなくなっていた。それでも、母は娘が作ってくれた、というのが嬉しかったようだ。

母にベビーアルパカで何枚も作ってあげた
マーガレット

ねじり一目ゴム編みで父に腹巻きを作ってあげよう。今年こそは絶対に。

しかし毎回挫折は最早この時点で起きる
『作り目』