前にはもうピーターさんが立っていた。授業が終わる8時でもまだ明るいこのごろ、挨拶は『こんにちは』なのか、『こんばんは』なのか迷ってしまう。
「ピーターさん、早いですね。」と言うと「私の車が盗まれてしまったんですよ。だから、今日は息子に送って来てもらいました。」ということ。今朝起きたら、夕べ家の前に駐車していた車がなくなっていた。シビックなので盗んですぐ解体して部品を売っているんだと思う、と淡々と語るピーターさん。HONDAやTOYOTAは部品が高く売れるので、解体するために盗まれるということだ。
ピーターさんは15年前に車事故で10日間の昏睡状態に陥った。その時の医療費は25万㌦だったそうだ。つまり2500万円。その頃ならシリコンバレーでも家が一軒買える金額だ。アメリカでの破産の大多数は、医療費が払えないのが原因だ。ピーターさんの場合は、保険会社が全て払ってくれたそうだが。
今日は最終日なので、なるべく日本語で話しましょうということになったが、やはりまだまだ話せることは限られている。この日本語2のクラスで習ったことは、他動詞、形容詞、『もらう、あげる』の授受動詞の使い方が主だ。
今日は好きなことは何かを話し合う。韓国人のジェーンさんが、「私はねえ」と始める。『ねえ』をつけるとスムーズな日本語に聞こえるからおかしい。
「私はねえ、ダイソーでショッピングが好きです。ガーデン、キッチン、たくさん買います。」ということだった。こちらでは$ shop、ダラーショップと呼ばれるダイソー。日本語では何ですか、と聞かれる。百円ショップ、または百均 (hyakkin)と白板に書いた。これが受けて皆ひゃっきん、ひゃっきんと嬉しそうに繰り返す。ホントに何が受けるかわからない。
「私はねえ、ダイソーでショッピングが好きです。ガーデン、キッチン、たくさん買います。」ということだった。こちらでは$ shop、ダラーショップと呼ばれるダイソー。日本語では何ですか、と聞かれる。百円ショップ、または百均 (hyakkin)と白板に書いた。これが受けて皆ひゃっきん、ひゃっきんと嬉しそうに繰り返す。ホントに何が受けるかわからない。
キット君は「アニメが好きです。週末にアニメのイベントに行きました。古い漫画をたくさん買いました。初音ミクのコンサートもありましたよ。」ということ。「初音ミクならコンサートを複数の場所で同時にできるからいいね。」と私が言うと、アニメ好きのキット君とダニーさんが爆笑する。ふむ、初音ミクの話になると二人ともニヤニヤ笑いをするのだ。何故?
初音ミクは日本でしか受け入れらないキャラクターか、と二人に聞く。ダニエルさんは、そう思うけどカリフォルニアでも受け入れられるかもしれない、とあごひげをなでる。初音ミクはデジタルキャラクターなんだ、と話してもジェーンさんとピーターさんはそのイメージがつかめないようだ。そうだろう。実際に目で見て初めて伝わるものだろうなあ、と思う。
最後に習ったのは電話のかけかたで、『もしもし、スミスさんのおたくですか。』という文だ。「これを『スミスさんはおたくですか。』と言うと全く意味が変わってしまうから、助詞に気をつけないといけませんよ。」と言うと、キット君とダニーさんがアハハハと笑う。ジェーンさんとピーターさんはやはり『???』という顔をしている。
父の状況が刻々と変化している今、9月からのクラスと1月からのクラスは引き受けることができない。来年の春また教えるかもしれません、それまでは代講に来ることもあると思うからその時会いましょう、とクラスを終える。5ヶ月一緒に勉強した生徒たちには絆を感じるので少し寂しい。
教室の外で皆と雑談して家に帰ると、ジェーンさんから電話があった。クラスは楽しかったです、お礼に韓国レストランでごちそうします、ということ。ありがとう、ごちそうにはならないけど、ご一緒しましょう、と応えた。最近はどんな人でもよく知る前に拒絶しないこと、と自分に言い聞かせているのだ。教室の中でのジェーンさんの発言を考えると少し不安はあるが、何でも試してみよう。
と思いながら、レストランのメニューをオンラインで見て『何がおいしそうかなあ。』と考える私は食いしん坊だな。やっぱり。
初音ミクは日本でしか受け入れらないキャラクターか、と二人に聞く。ダニエルさんは、そう思うけどカリフォルニアでも受け入れられるかもしれない、とあごひげをなでる。初音ミクはデジタルキャラクターなんだ、と話してもジェーンさんとピーターさんはそのイメージがつかめないようだ。そうだろう。実際に目で見て初めて伝わるものだろうなあ、と思う。
最後に習ったのは電話のかけかたで、『もしもし、スミスさんのおたくですか。』という文だ。「これを『スミスさんはおたくですか。』と言うと全く意味が変わってしまうから、助詞に気をつけないといけませんよ。」と言うと、キット君とダニーさんがアハハハと笑う。ジェーンさんとピーターさんはやはり『???』という顔をしている。
父の状況が刻々と変化している今、9月からのクラスと1月からのクラスは引き受けることができない。来年の春また教えるかもしれません、それまでは代講に来ることもあると思うからその時会いましょう、とクラスを終える。5ヶ月一緒に勉強した生徒たちには絆を感じるので少し寂しい。
教室の外で皆と雑談して家に帰ると、ジェーンさんから電話があった。クラスは楽しかったです、お礼に韓国レストランでごちそうします、ということ。ありがとう、ごちそうにはならないけど、ご一緒しましょう、と応えた。最近はどんな人でもよく知る前に拒絶しないこと、と自分に言い聞かせているのだ。教室の中でのジェーンさんの発言を考えると少し不安はあるが、何でも試してみよう。
と思いながら、レストランのメニューをオンラインで見て『何がおいしそうかなあ。』と考える私は食いしん坊だな。やっぱり。