なにしろマンションは規則が厳しく、家具の配達も木曜日の朝8時から11時までの間に完了しないといけない、というように言い渡される。お店からの配達の時間帯をそれに合わせるために次男は毎日職場から電話を何度もかけていたようだ。それも変更のたびにマンションの時間枠と配達の時間枠を合わせないといけない。が、二つを合わせることは不可能に近い。
が、最終的にやっと2月6日の契約、そして8日の引き渡しが決定した。
まずはタイトルカンパニー(Title Company)と2月6日に契約する(closing)。銀行から資金がタイトルカンパニーに支払われる(funding)。そしてタイトルカンパニーが役所で登記する(recording)。契約は6日だが土曜日なので、登記は月曜日に行なわれる。つまり引き渡しの日。市役所で登記するにも1日に登記は数軒しか受け付けないので、8日に引き渡しがあるかどうかは確約されない。しかも銀行からちゃんと資金が午前中支払われるかどうかもわからない。
タイトルカンパニーというのは登記代行会社と言えばいいのだろうか。日本にはないシステムだが、アメリカでは不動産を購入すると、登記はこのタイトルカンパニーを通してする。だから、不動産の買い主は銀行にローンを申請するが、銀行はタイトルカンパニーに支払いをする。
6日の契約の前にAlamedaにあるRestoration Hardwareの 倉庫セールに行った |
つまり、私たちの場合A施工主からマンションを買う。話を簡単にするためにマンションは$500Kとしよう。20%$100Kが頭金、残りの$400Kはローンにする。A施工主が指定したW銀行に、私たちはローンの申請をする。申請書類を全て提出するが、W銀行は『あ、そうそう、そういえばあれも提出してください』『あ、今度はこれも』と何度も何度も追加書類をリクエストしてくる。それはもう既に提出済みの書類も多い。だからどれがもう提出済みで、どれがまだか毎回見極めないといけない。数十通のメールが飛び交う。
頭金が払えるかどうか証明しないといけないので、預金証明を提出する。今までにも何度もあったことだが、銀行は提出済みのの書類を当たり前のように紛失する。日本だとありえないことだろう。以前にもある銀行を通じてローンを組み替えた時、提出した膨大な書類を紛失したので新たに提出してください、と通知が来たことがある。それも続けて2度もだ。
広大な倉庫に並ぶ家具は70%オフになったものもある |
とにかく、すったもんだの末タイトルカンパニーに提出する書類が届いた。2月6日にエージェントが我が家に来て、その人の説明を受けながら私たちが最終契約書類に全て署名して終了ということだ。契約時には色々な費用が発生するのだが、その費用はタイトルカンパニーに支払うもの、銀行に支払う利子、施工主に支払うHOA(Home Owner's Association)つまり管理費、固定資産税、エージェント派遣費が300ドルなどなど合計は目をむくような金額になる。
次男が家で仕事をする時のために買った机は全て金属製 |
とにかく頭金プラスこの諸費用を含めた金額を小切手を作ってエージェントに渡すか、ワイヤーでタイトルカンパニーに送金してください、ということだ。夫がW銀行で小切手を用意した。タイトルカンパニーから契約前に送られてきた書類に提示された金額ぴったりの小切手だ。
ところが、契約直前に不動産業者の友人Mに書類を見せたところ、大問題があることがわかった。書類上では銀行のミスで契約日が2月16日になっている。つまりこれでは引き渡しは16日以降になってしまう。8日に引き渡しの予定なら、契約日は8日になっていないといけない。なぜなら契約書は16日以降の利子計算になっていて、提示された金額では足りなく契約できないからだ。
8日に入居したいなら、8日からの利子等を支払わない限り引き渡しは決して行われない、とMが言う。その足りない8日分の差額は1500ドルぐらい。それなら現金を払えばいいのではないか、と思ったが、現金は受け付けない。タイトルカンパニー宛の小切手かワイヤー送金じゃないと絶対に絶対にダメだということ。
8日に入居したいなら、8日からの利子等を支払わない限り引き渡しは決して行われない、とMが言う。その足りない8日分の差額は1500ドルぐらい。それなら現金を払えばいいのではないか、と思ったが、現金は受け付けない。タイトルカンパニー宛の小切手かワイヤー送金じゃないと絶対に絶対にダメだということ。
ここでキレそうになった。時刻は土曜日の午後1時半。エージェントが来るのは午後2時。銀行は土曜日午後2時に閉まるはずだ。わざわざ土曜日に$300支払ってまでも契約をすませようとしたのは、月曜日に入居したかったからだ。火曜日以降予約している家具配達手続きなどをまたキャンセルして、4度目の変更をしたくない(これは全てマンションに住む予定の次男担当)。しかもギリギリの変更はペナルティもかかる。だが、契約書のミスのために$1500が足りない。
これはW銀行が書類作成の際に犯したミスで、それを見過ごしたタイトルカンパニーのミスでもある。しかしそもそもこういうミスが起きたのは、A施工主が何度も契約日を変更したからだ。