アメリカでアルツハイマー病に罹患している人は510万人(2013年)。
患者数は65歳を超えると5歳ごとに倍増する。
死亡原因となる疾患としては6位に位置する(2011年)。
64歳までに発症するものは初老期認知症と呼ばれるらしい。
20代後半から50代前半に起きることが多い若年性アルツハイマーは、進行がとても早い。
その中でも、遺伝子変異が原因で発症するのは家族性アルツハイマー病と呼ばれる。
アルツハイマー患者全体のうち、5%程度の初老期発症アルツハイマー病患者の約10%がこれにあたる。
家族性アルツハイマー病は遺伝子をチェックすることで、自分がいずれこの病気にかかるかどうか知ることができる。
家族性アルツハイマー病は遺伝子をチェックすることで、自分がいずれこの病気にかかるかどうか知ることができる。
親がこの病気にかかっていると、発症の可能性は半々らしい。
家族性アルツハイマー病にかかった女性を描いた映画を観た。
これはアカデミー賞を受賞したジュリアン・ムーアが主人公の映画で、原題はStill Alice、日本では『アリスのままで』という題名だ。
アリスは50歳になったばかりのコロンビア大学の言語学教授。
映画館はモールの中 |
アリスは50歳になったばかりのコロンビア大学の言語学教授。
授業中言葉が出なくなったり、ジョギングをしていて帰り道がわからなくなったりすることから病気が発見される。
アルツハイマー病にかかっていても、尊厳を失わずに生きるということと、家族愛を描いた映画だ。
走り慣れた道で方向感覚を失うアリス |
アルツハイマー病にかかっていても、尊厳を失わずに生きるということと、家族愛を描いた映画だ。
評判はとてもいいしストーリーに引き込まれる。
それでも、終わったあとかなり不満が残った。
夜中にヒステリックに叫ぶアリスを夫が抱きしめて優しく言い聞かせたり、アリスの次女が献身的に母の世話をする、という場面ばかりが描かれている。
家族から愛されつつも段々壊れていく姿が、アリスはアリス、いつまでも同じ人格なのだというこの映画の主題なんだと思う。
この映画の中ではアリスは家族にとても大事にされていて、家族はアリスが何度同じことを聞いてもイライラしたりなんかはしない。
母親に反発することも多かった次女が母の介護をする |
この映画の中ではアリスは家族にとても大事にされていて、家族はアリスが何度同じことを聞いてもイライラしたりなんかはしない。
家族に大切にされていて、介護をする家族の大変さは殆ど描かれていない。
いくら愛する家族でも、アルツハイマー病患者を介護するのは大変なことだ。
かなり進行したアルツハイマー患者を在宅介護をしている人にとっては、こんなきれいごとではすまないんだけどなあ、という印象を残すのではないだろうか。
それとも、この映画の評価はとても良いので、こういう考え方をする人は少ないのだろうか。
家族の大変さを描いた映画はいくらでもあるのだろうし、この映画が伝えたいものは違うのだ、と言われればそうなのかもしれない。
父のアルツハイマー病の進行は緩やかだが、それでもやはり壊れていっていると感じる。
なのに、被害妄想と不安症はいつまでも同じだなあ、とつくづく思う。
頭が痛い、微熱がある、とホームのスタッフを毎日わずらわせる父だ。