履歴書を送付したあと、電話でのインタビュー、on siteつまり企業に出向いて上司となる人と面接、その上の人との面接などなど数々の面接をすませ、各企業の人事課と話し年収や福利厚生の交渉をする。
3週間そういうストレスにまみれていたマリーだったが、今は求人がたくさんある時。オファーが次々入ってこの世の春、という状態の中にどっぷり浸っていた。
5月24日、保育所にヒロをピックアップに行ったマリーの目の前で信じられないことが起きた。
保育所は62歳の女性Jが経営し、女性の50台の妹Wが手伝っている。彼女たちはマリー母従姉妹の娘の夫の母親とその叔母だ。親戚しか預からない、そして料金が親戚ディスカウントで月額$1300。料金よりも何よりも心から信頼できる人たちに子供を預けられる安心感。これがあるからこそ、次男とマリーは狭くなってきたサンフランシスコのマンションに、少しでも広く住めるよう工夫しながら住んでいたのだ。
現在通う保育所はとても狭いが、ヒロはリラックスしている |
次男の職場はマンションから60キロ、サンノゼの我が家からは37キロ。家の大きさと裏庭があることを考えて、二人はサンノゼに住むことも考えた。が、とにかくこの信頼する保育所以外にヒロを預けることはありえない、とサンフランシスコに住み続けている。
ところがその日重大事件が起きた。
妹Wの方が姉Jに向かって「もうこれ以上ここで働くのは無理。私は出て行く。」と宣言し、保育所から出て行ってしまったのだ。預けられている子供の数は少ない時で6人、多い時は10人。この道36年のJといえど、一人で子供たちを世話するのは無理だ。
金曜日にこの事件が起きた。事件後一応今日がWのいない保育所初日(月曜日は祝日)。経営者Jのご主人が仕事を早退して手伝うということだが、もう信頼感や安心感はなくなってしまった。
実は妹Wは離婚しているのだが、最近恋人ができたらしい。保育所を飛び出し恋人の元に行ってしまったWが保育所に戻ってくる可能性はとても低い。万が一戻ってきたとしても、次男とマリーはWへの信頼を完全に失ってしまった。いつまたWが保育所を出て行くかわからない。
となると、激戦区のサンフランシスコで保育所が空くまで待機するか、あるいはベビーシッターを見つけるか。そんなことをしている時間がないので、サンノゼの我が家のそばに最近できた保育所に空きがあるかどうか次男が問い合わせた。
すると、なんとあと1席だけ空きがあるということ。料金は今までの保育所のちょうど2倍である$2600。$300のデポジットをその場で払って席を確保した。サンフランシスコで安心できる保育所がすぐに見つかる可能性は低そうだ。ということは、もしかしたらヒロは早ければ6月からサンノゼの保育所に通い始める可能性もある。
つまりマリーがサンフランシスコ勤務という可能性は消えた。サンフランシスコに住みながら、サンノゼの保育所に子供を預けるというのはどう考えても無理だからだ。
サンノゼでまた一から仕事探しを始めないといけないマリーは愕然とするが、気を取り直した。次男はマリーに8月いっぱいは家にいて仕事探しをし、9月からの勤務を目標にしたら?と勧めている。それまでに二人はサンノゼの我が家に引っ越してくる。
自分たちは子供部屋2つを3人で使うから、私と夫は今まで通りマスターベッドルームとサンフランシスコのマンションを使えばいいし、今までと同じ金額の家賃も引き続き毎月支払うと言う次男とマリー。
夏以降私と夫はサンフランシスコに住み、サンノゼに滞在する時は 玄関を入ってすぐ左側にあるバスルームと部屋をリモデルして、 いずれ私の部屋として使うことになりそうだ |
現在は夫の物で満杯状態 |
まあ、家の交換に関してはまだまだどうなるかは未知数だが、この夏にはなんらかの動きがありそうだ。
「それにしても恋のパワーってすごいね〜。あんなに子供たちをかわいがっていた保母さんが家出してしまうんだから。」と言う私にマリーが顔をしかめる。「だって彼女はもう50歳ぐらいなのよ!ありえない!やだわ〜。」だって。
横で聞いていた姑や小姑たちも「いい年して、なんとまあ。」と同意する。皆想像力に欠けているなあ、と私は思い出す。父のホームで日々起きていた現象。
老いらくの恋 in わいわい広場 |
そういうことだったのですか。保育料も高いのですね。
返信削除人生って自分が思い描くようには進まないですね。それが人生(って禅問答のようになってしまいました)。
恋愛に年齢制限があるとは思いませんが、世間的にはみっともないと思われているようですね、アメリカでも(^^;)。
Michikoさん、
削除まだまだドラマがあったんですよ。また追い追い書きますが。
保育料高いです。二人子供がいたら$5000。それって考えられない金額ですよね。
本当に人生山あり谷ありですね。
恋愛って80歳を超えても老人ホームでは盛んです。フランスではみっともないことではないようですが、日本では恥ずかしいことという感覚ですよね。アメリカでもそうなんですか。それでも50歳はまだまだ若かったなあと最近はよく思います。