2019年5月7日火曜日

父への電話

今度こそ本気で断捨離しようと思っている。



家具は買ってくれた日本人ご夫婦の手に渡り、リビングルームは少し広くなった。



次は寝室。



思い切って物を捨てないと片付かない。



古いiPhoneも捨てようかなと思ったが、もう2年ぐらいすればヒロのおもちゃになるか、と思ってとっておくことにした。



黄色いiPhoneホームボタンのシールも貼って準備万端。



ふと何が保存されているか見たくなった。



充電してファイルを次々と開けてみる。



2011年から数年の出来事がいっぱい詰まっている。



もう忘れていた息子たちの写真、日本からのメール、テキストメッセージ、などなど懐かしく見入ってしまった。



ほとんどのファイルを削除して、ふとSkypeをクリックしてみる。



履歴を見て胸が詰まった。



そこには父の名前ばかりが並んでいる。



スクロールしてもスクロールしても全てが父だ。



1週間に一度かけている頃もあるが、2週間に一度、1ヶ月に一度の事もある。



名前をクリックしてみた。



父の電話番号が表示される。



電話のマーク📞とともに。



スクリーンを穴があくほど見つめた。



胸の中の鼓動が聞こえる。



この番号をクリックしたらどうなるのだろう。



父が出るのだろうか。



父はまず言うだろう。



『ちょっと待って。補聴器を調節する間、ちょっと待って。』



そして聞くだろう。



ひ孫はどうしているか。



それから言うだろう。



『あのxxx(次男の名前)が父親になるとはのう。』



そしてホーホーホーと父独特の笑い声をあげただろう。



なぜ父に一ヶ月も電話してない時があるのだろうか。



もしかして私が日本に帰っていた頃なのだろうか。



父が自宅にいた頃、なぜもっと父の部屋に行って話してあげなかったのか。





私は知っていた。


父亡きあと、
この写真を見ては泣くだろうことを

2 件のコメント:

  1. 断捨離すすんでいますね。思い出の家具を手放していくことは、思い切らないとなかなかできないことだと思います。わたしも、今では箪笥のこやしを保存するための家具は、中身を整理して手放していこうかと思います。スマホがあると、やはり想像以上にびっしりと、その時その時の思い出がたくさん詰まっていますね。思いだしては、その当時の思い出が蘇り、後悔もされるお気持ちすっごくわかります。わたしも、もし過去に戻れるものならば、具体的に何かしなくても、側にいるだけでも良かったのだろうと思います。MIKIMIEさんは、ご両親のために何度も何度も遠距離介護をされているのですから、ご立派だと思います。本当、親に旅立たれると、こんなにも寂しくなるとはわかりませんでした。涙~

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    1. ケイさん、
      家具は半分ぐらいの量に減らしたいのですが、ダイニングテーブルがなくなったらまた新たに買いたくなりました。これは困りますね〜。でもリビングルームが空っぽだとなんだかつまらないですね。
      身体がなかなか思うように動かなくなった時のために、お互いに少しずつ整理しましょうね〜。

      そうなんですよね。具体的に何かしてあげなくてもいいんです。そばにいてあげるだけで親は嬉しいんですよね。
      でも、それが毎日のこととなると難しい。今だから懐かしく思い出して後悔してしまうんですが、当時はもういっぱいっぱいでした。
      母の方が人間的にはずっとずっと尊敬できる人だったのに、懐かしいという気持ちはは父に対する方が圧倒的に強いです。
      親に対する気持ちって、あ〜あというため息と、切ないという気持ちがくっついてセットになっているんですね。
      ケイさんも今は本当に寂しい気持ちでいっぱいですね。本当に親との別れは通らないといけないつらい道ですよね。

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