でも、でも・・・
気持ち良さはなかった。あともう少し押してくれれば気持ちいいのに、と何度もはぐらかされる。なんというか残尿感があるというか。それでも終わったあとマッサージをしてくれた女性が「普段鼻づまりはありませんか。」と聞く。あるのだ。普段から。
地下に降りてサンドイッチとカプチーノのランチを食べる。食べている最中に携帯がブルルと振動する。二人でハッとする。父のホームからか。
実際はメールを着信した音だった。とにかく一日中気の休まる時がない。少しだけお店をブラブラして帰ることにした。エネルギーを残しておかないといけない。何のためのエネルギーかと言えば、父の所に夕方行くエネルギーだ。父は耳が遠い上理解力も落ちているから、大きな声で何度も何度も同じことを繰り返さないといけない。これには多大なエネルギーを要する。
2時頃伊勢丹を出て、今度は近所のスーパーに行って父の補聴器の電池をたくさん買う。ホームにもたくさん置いてあるが、スタッフに預けておくためだ。父がパニックを起こしたときのためのものだ。
昔ながらの扇風機が使いやすいだろう |
比較的新しい扇風機は、スイッチが父には押しにくい |
父の部屋には引き出し類をたくさん置いているのだが、これが多過ぎて父はかえって混乱することがわかった。なので今日は3つ持って帰ることにした。父にはこの引き出しを3つとも家に持って帰るよ、と言った。余りにもたくさん引き出しがあると、かえって物が探しにくいでしょ?と言うと、父も「そうか、そりゃそうだ。」と納得する。引き出しの中の物を父自身に整理させて、他の引き出しに入れ替える。
引き出しを持って帰ろうと思ったが、そこで不安になる。引き出しがなくなったと父が騒ぐのではないか。それでスイッチが入らないか。そこに来たスタッフに「引き出しを持って帰ります。父は忘れるかもしれないので、よろしくお願いします。」と声をかけた。
エアコンの温度の確認をしようとパネルを見たら、フィルターボタンが点滅している。フィルターが汚いのかな、と天井を見てびっくり。吹き出し口がカビで真っ黒になっている。カビは危険だ。特に高齢者には大変な健康被害を与える。ここから風が出ているかと思うと呼吸するのも気持ち悪くなった。明日はマスクをしてカビキラーで掃除しないといけない。ホームのスタッフに言うのははばかられる。
父が好きそうな話をしばらくして、5時40分に「もう帰るよ。」と声をかけた。父は機嫌良く「はいはい、ありがとう。気をつけて帰りなさいよ。」と言う。穏やかな父だ。これでまたスイッチが入る姿はどうしても想像できない。でも今のところ48時間ぐらい穏やかさが続いて、そのあと変貌してしまうことも何度かあった。記録を取らないといけない。エクセルで6月21日からの父の様子や、薬の量の変化などを細かく記録する。
本当なら7月15日にサンノゼに帰ることになっている。することもたくさんある。家作りも続けたい。今日はホームセンターのマツコから、やっと見積もりが来たらしい。キャビネットは13000㌦。ポールの見積もりは25000㌦だった。ホームセンターは新しく楓の木を使ってキャビネットを作り替えてくれる。トーマスビルという、有名な家具の会社との契約で作るそうだ。御影石の見積もりは4000㌦。
Thomasvilleのキャビネット |
つまり、カウンターなど全て込みでの各見積もりはこうだ。
ポールとポールが契約している業者。32000㌦。
契約をキャンセルした業者。26000㌦。
ホームセンターのマツコ。17000㌦。
今の時点ではマツコに頼みたい。が、マツコの選択肢も見ないといけない。ポールが提供してくれるような、ピューターのキャビネットに似たものはあるのか。
早く帰って家作りもしたいが、今の状態の父を姉一人に任せるのはいくらなんでもかわいそうだ。仕事をしている姉に、父の介護との両立は大変なエネルギーが必要だ。職場にいても一日携帯電話に連絡があるかもしれない、と気になる。姉こそストレスで身体がガチガチになっているのだ。
明日はオイルマッサージに行きたいなあ、とうっとりと想像しながら寝ることにする。
こ、これ・・・ ここまでのマッサージはちょっとなあ、やっぱり |