2021年12月22日水曜日

苦しみについて(ハリール・ジブラーン)

死ぬこと以外はかすり傷


毎日読んでいるSHINOBY'S WORLD(内藤忍のブログ)の中で、この言葉が頭に残った。


やって後悔するより、やらずに後悔することの方が多い、ということが多い人は、何かをやるかやらないか悩んだら、やってみるというように判断するように心がけるべき、というのが内藤忍氏の考えだ。


確かにそうだなあ、と考えてみたが、私にはしなかったことを後悔したことは多くても、それらは大した案件ではなかったなあ、とも思う。



この言葉を読んだ日、有名人夫婦の一人娘である芸能人Sさんの死のニュースが目に入った。


私は日本を1979年に出ているし、今はテレビを見ないので亡くなったこの方のことは全く知らなかった。


それでも、親であるお二人のことは、昔何度かテレビで見たことがある。



だから大変ショッキングなニュースだな、と思った。


一人娘であるSさんが亡くなってしまった。



死ぬこと以外は・・と言うように、死んでしまったらもうどうすることもできない。


見たことも声を聞いたこともないこの亡くなったSさんの死に、動揺した。


子供を亡くす、という多分最大の不幸の中にいるご両親、死んでしまうほどの苦しみを抱えていた娘のSさんのことを考えただけで胸が苦しくなる。


悩みは人それぞれだし、悩む者にとって悩み事の大きさなんて関係ないのかもしれないが、この1年、自分がなんと小さなことで悩んでいるのだろう、と思う。



そんな時、ハリール・ジブラーンのことをKみさんに教えてもらった。



ハリール・ジブラーンはレバノン出身の詩人、画家、哲学者であり、後にアメリカに永住し、48歳で永眠した。


彼の詩は宗教的ではあるが哲学的でもあり、神というより自然や宇宙などの大きな存在を感じさせる詩人だ。


彼の「子どもについて」の抜粋をKみさんが送ってくださったので、彼の詩集をすぐ買い読んでみると、この詩が心に残った。



苦しみ (Pain) について


あなたの苦しみはあなたの心の中

英知をとじこめている外皮(から)を破るもの。

果物の核(たね)が割れると中身が陽を浴びるように

あなたも苦しみを知らなくてはならない。

あなたの生命(いのち)に日々起る奇跡

その奇跡に驚きの心を抱きつづけられるならば

あなたの苦しみはよろこびと同じく

おどろくべきものに見えてくるだろう


そしてあなたの心のいろいろな季節をそのまま

受け入れられるだろう。

ちょうど野の上に

過ぎゆく各季節を受け入れてきたように。

あなたの悲しみの冬の日々をも

静かな心で眺められることだろう。


あなたの苦しみの多くは自ら選んだもの。

あなたの内なる医師が

病める自己を癒そうとしてのませる苦い薬。

だから医師を信頼して

黙ってしずかに薬をのみなさい。

医師の手がたとえ重く容赦なくとも

それは目に見えぬもののやさしい手に導かれている。

彼が与える杯がたとえあなたの唇を焼こうとも

それは大いなる焼物師が

自らの聖なる涙でしめらせた

その粘土でつくられたものなのだ。

                                                                                (神谷美恵子訳)


Sさんのご両親が、あなたの苦しみの多くは自ら選んだもの、と言われても慰めにはならないだろうが、いつか


悲しみの冬の日々をも

静かな心で眺められる


ようになることを願う。


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