2020年1月10日金曜日

性善説・性悪説

12月。日比谷ミッドタウン。林家新兵衛。

京都の甘味処らしい


Mささんと話す。日本人は性善説、つまり基本的に善が本性だが、アメリカ人は性悪説、つまり悪が本性だ。だから、他人を信頼できない。お店でも店員さんを信用できない。何かが壊れて修理してほしくても、修理屋さんは基本的に約束を守らない、修理はしてもらえない。こちらもお店の人と話す時は店員さんに信頼感を持てない。などなど。

いや、すばらしい人はたくさんいる。アメリカ人はフレンドリーな人が多いから、全くの他人同士でもお店や病院などでお互いににっこりと微笑み合い、袖振り合うも他生の縁、よりももっと親しく話す機会も多い。ほとんどのアメリカ人も本性は善であると信じたい。

が、アメリカで何かが起きた場合相手に負けてはいけない、と無意識に心を鎧兜で固め自分を守ろうとする。

今日そんな場面があった。

11時15分前、友人との待ち合わせ場所に向かっていた。高速道路に乗る直前のいつも渋滞している道路で、後ろの車に追突された。私は追突した車のドライバーに路肩に車を寄せましょう、と合図しながらiPhoneを取り出す。路肩に車を寄せるふりををしながら逃げるドライバーが多い国だから。

追突してきたドライバーはちゃんと路肩に車を停めたが、私は自分の車を降りて彼女の方に向かって歩きながら、心の中が煮えくり返っていた。新車を傷つけられたこと、これからの保険会社との連絡、修理に伴う煩雑な手続きの数々。

バンパーが落ち、衝撃で後部が損傷しているだろう私の車


が、追突ドライバー(推定20代)は私に向かってギャンギャン叫び始める。

「急停車したでしょ!あんたが急停車したからぶつかったのよ!!(英語)」だそうだ。

この人は感情的、もしかして暴力をふるうかもしれない、と私の中で『アメリカ人性悪説』赤信号が点滅し始める。だから、まずは追突車の写真を撮ることにした。そのことに追突女性激怒。

私に写真を撮らせまい、とiPhoneを取り上げようとする追突ドライバー
彼女の2013年トヨタは廃車になるだろう

私は説明する。「あのねえ、事故った場合お互いの車や状況の写真と車両保険の情報は必要でしょ?今回の場合あなたが有責だと言うのはもうはっきりしてるんだから、まずは写真を撮りますね。」

が、追突ドライバーは感情的にこの事故は私の責任であり、自分に落ち度はないとわめきまくる。そして、泣きながら母親に電話をかけ始める。

私もここは状況を見ておく人がいる方がいいと判断し、警察(311)に電話するが怪我人がいない場合、警察の出動はもちろんない。お互いの情報を交換して二次災害に合わないように気をつけてね〜と明るく電話を切られる。

ではこんな時はボーイズの出番だ。職場が超フレックスな次男に電話するが、職場のジムでエクササイズをしているらしく、出ない。長男に電話する。『保険と免許証の情報をちゃんと交換するように。』というアドバイス。おお、そうか。確かに免許証の写真は必要だ。そのうち次男から電話があり、職場からすぐ駆けつけるからハザードライトを点滅させて待つように、ということ。

数分後、追突ドライバー母が到着。母はリーズナブルな人らしく、ちゃんと挨拶して自分から保険の情報を呈示してくれる。次男とマリー到着。次男がすぐに保険会社に連絡し手続き終了。私に「救急病院に行っておいた方が良くない?多分今はアドレナリンが出てるから感じないと思うけど、もしかしたらどこか怪我をしているかも。」と言う。

ふむ。そう言われれば腰が少し痛いような気がする。が、これはインフルエンザのあと怠け癖がついてほとんど歩かない生活をしていたのが原因ではなかろうか。日本から帰ってすぐ家中を掃除して疲れすぎたのだ、もっとゆっくりするべきなのだ、としばらく怠けていた。

日本から帰ってくると家中埃だった

調理台は全てこんな感じ

が、と考える。

ここで救急病院に行っておいて治療が必要だった、という証拠作りをしておく?追突ドライバーの保険会社が、私に何か治療が必要な場合治療費も全て負担しますよ、マッサージ、鍼、なんでもオッケー!なんて言ったりしないだろうか。そうなったらマッサージなんか毎週ただで行けるかも?と私の中の性悪たる部分が囁く。

実際友人Y子は一昨年追突された時、加害者の保険で以前から悩まされたいた肩こりマッサージ代を4ヶ月払わせたと喜んでいた。が、やはり『20代の女性にそこまで支払わせる、というようなかわいそうなことはしたくないな』と性善が性悪を制す。

そうだ。こんな時、日本人のいいところを見せるのだ。追突ドライバー女性も『あ〜、追突被害者が日本人で良かった』と思うだろう。

一応大事をとって救急病院で検査だけはしておいてもらったが、問題はなかったのだし。

いつものように日本人のすばらしさをアピールしてきました

2 件のコメント:

  1. 大変な思いをされましたね。大丈夫ですか?
    後ろからの追突はふつう後ろのドライバーの責任だと解釈していますが、もちろんみきみぃさんが急停車したとは全く思っていませんから。
    警察が来てくれないのは困りますね。
    やはり冷静にアドバイスしてくれる人は必要だと感じました。息子さんたちは頼りになりますね。

    私も日本は性善説を信じているのではないかと思っています。だからMr.ビーンみたいな人にひどい目にあってしまう(?)
    検査で問題なくてよかったです。

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    1. Michikoさん、
      お気遣いありがとうございます!
      明け方目が覚めて眠れなくなりました。
      やはり事故に巻き込まれるのはつらいですね。
      相手のドライバーも車が壊れてかなりショックだったと思うし、最初に責められて腹が立ったけど、もっと慰めてあげるべきだったのか?と考え始めると気持ちがざわざわして。

      追突された車の方の責任になるのは、
      突然ギアをバックに入れた、
      方向指示器を点灯せずに突然右折/左折するために急停車した、
      ブレーキランプが機能していなかった、
      タイヤがパンクしたが、ハザードライトをつけて路肩に車を寄せなかった、
      という理由が相当するようです。
      もちろん、私はそんなことしてないのですが、性悪説でいくと、追突したドライバーが、私のことを以上のことをした、と保険会社に言う可能性もありますよね。
      とりあえず怪我がなかっただけ良かったと考えることにして、あとは保険会社に任せることにします。

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