随心院もその一つかもしれない。
行ってみることにした。
地下鉄小野駅から歩いて6分だが、駅に降り立った時はお腹がすいて歩くのもつらいほどだった。
やはり随心院も紅葉は始まったばかりで、鮮やかな美しさはなかった。
観光客は誰もいないようだ。
庭園で一人座っている時間は心地よい。
脱水状態から回復すれば頭の中もクリアになって、思い出話とかまた一緒にできるようになるのだろうか。
もっともっとおいしいものを食べさせてあげれば良かった。
少なくとも京都にいる間は夕食時に毎日行って、父の部屋に食事を持って来てもらって、おしゃべりして食べさせてあげたら父はもっと楽しかっただろうに。
考え始めると涙が出る。
このひなびた感じ
良いのう
母が脳出血を起こして入院した時のことを思い出した。
スーパーに行って母の好きだったお刺身を見ると涙があふれて、だらだらと涙を流しながら歩いた。
誰に見られようと、そんなことはどうでもいいほど悲しい。
母が集中治療室に入ってからは、胸がいっぱいで毎日食べ物が喉を通らなかった。
かろうじてコンビニのおにぎりを一日一つ食べるのが精一杯の毎日。
父のこともいつかは同じように穏やかに思い出すことができる日が来るのだろう。