問題の補聴器 |
父は子供に少しでも多くお金を遺したい、と思う人なので何も買わない。買い物は100円ショップでするだけ。いや、以前はお買い物大好き人間だったのだ。が、アルツハイマーの症状が出始めてからは出かけるのも面倒らしく何も買わなくなった。100円ショップで買った扇子でさえセロテープで修繕していつまでも使う。
父に買ってあげられるのは洋服、パジャマ、補聴器ぐらいだろう。昼用のは秋に注文しようと思いお店から出張サービスを頼んだ。が、最新の補聴器の音質になじめない父は試聴している間に疲れてしまった。だから注文はまだしてないのだ。このところの父の混乱を考えると、なじんだもの以外は受け入れられないことは明白だ。昼用の補聴器も今までと同じものを注文するしかないだろう。
『今の補聴器は修理に出している。だから夜も昼用の補聴器をつけたまま寝たらいい。修理からは近いうちに返って来るが、その他にも同じ補聴器を注文している。それは1月8日頃届くはずだ。』
父にこう説明する。父はそれを聞いて喜ぶ。が、30秒後に同じ質問をする。このところの父の混乱はすさまじい。アルツハイマーの中期に入ったようだ。
が、年賀状を書きたいということなのでハガキを持って行った。父は相手によって書く文章を考える。あとで見てびっくり。友人たちには『お元気でいてください』と書いているが去年亡くなった父の妹の夫、つまり義弟には『お元気でよい供養をお願い致します。』と書いているのだ。妹が亡くなったことさえ覚えていないのではないか、と心配したがその必要はなかったようだ。
それにしても父は昔達筆だったのに、本当に字が下手になったなあと思う。
今日の気分転換 御池通のカフェでランチ 京都では唯一都会風の通りだ |
とにかく今日の父は穏やかで補聴器のことを何度も聞きはするが、心配はしていないようだ。このまま火曜日辺りに新しい補聴器が届くまで大丈夫だろう。
と思ったのが大間違いだった。
続く・・・