四条大橋から南座方面を見たところ |
夕方はいつものように父のホームに行く。父は険しい顔をして食堂に座っていた。部屋に連れて帰り着替えを手伝ったあとアンパンを食べる。父はアンパンを見て真ん中に指を突っ込む。食べ方がわからない、と一瞬混乱していた。どうも家に帰ったということで、自分を取り巻く環境が変化した数時間の後遺症から抜け出せていない。
年賀状下書きをしてみる 『変りないかよトモダチ』 とおどけて書く父 |
小さい頃からそんな父が恥ずかしかった。『自分よりも下位』と判断した人には横柄な態度を取る父のことがいやだった。でも子供だから父への愛情があるわけで、その辺りの葛藤は子供なりにいつも感じていた。『自分より上位』の人にはへつらうくせに、それでもその人が自分に理不尽なふるまいをした、と感じた途端相手に詰め寄って謝罪を求める。謝罪させると今度は一転して自分が優位に立とうとする父を見るのは恥ずかしかった。
そんな父の性格は一生変わらない。子供の頃は恥ずかしい思いをするだけですんだが、今度はホームや病院でちゃんと生活していけるように、子供が面倒を見ないといけない。父の面倒なんかもうみたくない、と日々思う。が、人間として子供として父を捨てることができない。
明日は父に年賀状ハガキを持って行ってあげて、一緒に書こうと思う。父にそのことを言うと破顔して、それは楽しみだと言う。父と少し練習してみる。が、明日になったら険しい顔で、そんなことはしたくないと言い始めるだろう。去年は父もかろうじて宛名を書くことができたが、今年は無理だろう。一文だけでも書ければ万々歳だ。
帰り道スタッフに呼び止められた。夕べ父は補聴器のことで混乱して、娘に電話してくれとかなり騒いだらしい。スタッフも若い女の子で今晩のことが不安らしい。「大丈夫でしょうか。」と聞いてくる。気持ちはわかるがこちらもできることはしたのだ。重苦しい気分になる。
が、重苦しい気分もアプの顔を見ると少し晴れる。2階廊下にラグを敷いて作ったドッグランでアプと遊んでやる。
最近一気に体重が増えたアプ 全速力で走っているのがおわかりでしょうか |