生徒たちは日本語で早く会話できるようになりたいそうだ。でも、今まで習った文法を全部使っても会話は余り成り立たない。日本語1で習うのは、
- 名詞1は名詞2です、という形。例えば『スミスさんは弁護士です。』否定形と過去形も覚える。
- これはいくらですか、4000円です、というような買い物時の受け答え。
- 学校は午前8時から午後3時までですという時間の表し方。
- 第6章で形容詞『赤い、青い、黒い、大きい、小さい』と、動詞『行きます、来ます、帰ります』が導入される。
- 第7章で『車で行きます』の『〜で』が導入される。これが最終章。
では、今日したことを皆で披露し合いましょう、まず私から今日の出来事を話します、と始める。
『お姉さんがサンフランシスコ空港に飛行機で来ました。』姉という言葉はまだ紹介されていないので、お姉さんを使う。
『私は空港に車で行きました。お姉さんと1時にスタンフォードの店に行きました。4時にうちに帰りました。』が精一杯。他動詞を習っていないと会話はなかなか成立しない。
他動詞を少しでも習っていると以下のような文章が作れる。『スタンフォードでご飯を食べました。かばんを買いました。』などなど。そして形容詞の語彙が増えるとかなり会話が楽しめるようになる。『ご飯はおいしかったですか。かばんは高かったですか。』というように。
そして、生徒たちには今日どこに行きましたか、と聞いた。何をしましたか、とは聞けないのだ。なにしろ他動詞を習っていないのだから。
『仕事に行きました。仕事は8時から5時までです。うちに帰りました。』とこのパターンしかない。生徒のうち2人は仕事をしていない。この2人は「今日は一日中うちにいました、と言いたいんですが、これは日本語でどう言ったらいいですか。」と聞く。
これは日本語2で習う動詞だけど特別に教えてあげる。それは『います』という動詞を使います。過去形は『いました』ですよ。
この存在動詞を習えば、毎日うちにいます、猫がいます、など会話ができるなあ、と早く教えたくてたまらなくなる。
そのあとは『〜て』を教える。例えば『写真を撮る』を『撮って』と動詞の変化ができるようになる。すると、『撮ってください』『撮ってもいいですか』『撮ってはいけません』『撮っています』などなど会話は飛躍的に広がっていく。
生徒たちは皆日本語2を取るつもりだということ。来週で日本語1が終わっても、4月からは2が始まる。セッション2は5月末まで。日本語に関しては白紙の状態だった生徒が数ヶ月で会話できるようになる過程を見るのは本当に楽しい。