2016年4月27日水曜日

父のアクセル

父が2010年、アルツハイマーの診断を受けた当初からかかっている病院の主治医、森先生の診察の日だ。本来ならば父のホームで訪問医の診察を受けるべきなのだが、父の場合外部の主治医にそのまま診てもらっている。

9時に診察券を入れたが連休前のせいか今日は混雑している。父は12番目だそうだ。ホームの車で父が病院に到着したのは10時32分。実際に診察を受けることができたのは12時前。これは比較的短時間の待ち時間と言える。長い時は3時間待ちということもあった。

そんな時父と一緒に待つのは大変だった。2年ほど前の父は暑い、気分が悪い、喉が乾いた、お腹がすいた、暑い、暑い、とまあひっきりなしに文句を言う。が、父のアクセルはもう完全に勢いを失ったようだ。今日の父は時たま頭が痛い、どうしてかなあ、と言うだけで辛抱強く待っている。いや、辛抱強いというよりも、自分を取り巻く環境に対しての意識が低下しているという様子だ。

病院では数時間待ちということも多い

診察室に入ると父はガラッと変わる。森先生の問いかけににこやかに返事をし始める。よく寝られます、食べられます、などと答えている。が、最近の父は何を言っているかわかりにくい。

森先生によると、これは構音障害。話す内容は普通だが、唇や舌の機能が低下したためにろれつがうまく回らない。だから聞き取りにくい。

頭が痛いのは季節の変化によって自律神経がうまく機能していないため。突然の痛みの場合は診察が必要だが、慢性的な痛みは心配ない。

穏やかですね、と言う森先生の感想を受けてホームの相談員Sさんが、『でも、夜中とか目がさめると誰かにいてほしい、とずっとスタッフを呼び続けられます。』と報告する。それに対しては『日中活動量が少ないせいですね。』という診断だ。それはそうだ。父は1日中ベットに横たわり宙を見ている。

まあ、順調に(?)父のアルツハイマーは進行しているということだろう。3ヶ月後の予約をしてホームに帰ることにした。3ヶ月後の父は一体どんな状態なのだろうか。もしかしたらもう生きていないかもしれない。父の姿に活力がないのは言うまでもないが、どんよりとした父の目を見ると本当に悲しい。

弱々しい父の姿を見ると胸がいっぱいになる

父がホームからのお迎えの車を待つ姿を写真に撮っておくことにした。もうこれが最後かもしれない、と思うと涙が出て来て困る。まばたきをし続けて我慢した。Sさんに涙を見せたくない。

が、写真を撮られていることに気がついた父

これ見て涙が止まった・・・