父の状態が一気に低下していたからだ。
昨日から一切の食べ物を拒み始めた父は衰弱している。
それでも私と一緒にいる間はぼんやりしていたのに、1時間後に姉が来た途端笑いを取ろうとするのにびっくりした。
急におどけ始めたのだ。
どうも心臓麻痺を起こして死んでしまった自分、という一連のジェスチャーをしているらしい。
私のことはもうわからなくなっているのに、姉のことはよくわかる父。
やはり長女を頼りにしているのかもしれない。
元気だったのが |
突然の心臓麻痺 |
崩れ落ちるところ |
そしてこときれた(らしい) |
看護師さんと話したいと言うと、若い看護師君が来て父の状態を説明してくれた。
その間父は姉に向かって拝むように手を合わせている。
何かを謝っているようにも見える。
父はまるで死を受け入れる準備ができた、今までありがとうと言っているようだ。
父がもう自分から食べようとしないこと、水分も100ccしか取れていない、熱があったので抗生物質を点滴で投与したが、父は針を抜いてしまう。
入院して拘束して生命維持に必要な栄養点滴を受ければ、1ヶ月ぐらいは延命できるだろう。
ただ、その後は今と同じようにまた脱水症状を起こす。
本人にとっては苦しい治療だということ。
あるいはホームで看取りすることもできる。
その場合父は緩やかに意識が低下していき、安楽な死が訪れるそうだ。
月曜日にホームの嘱託医の説明があり、その時点で看取り介護に移行することに同意するなら、確認書に署名する。
拘束し点滴を受け、水分で身体がパンパンにむくみ、痰の吸引を続けながら死を待つよりも、できればホームで穏やかに逝かせてあげたい。
救急搬送で入院させないことに同意した。
昨日はスーパーで人の目なんかどうでもいい、と思いながら泣きに泣いた。
が、ホームで泣いている姿をスタッフに見せるのはなんだかいやだ。
それも父の目の前で泣きたくない。
今晩もう一度ホームに行き、父が穏やかに呼吸していることを確認する。