2022年1月22日土曜日

息子たちに言ってはいけない言葉

最近、死んだ両親のことをよく思い出すようになった。


息子たちにとって京都の祖父母のイメージは、祖父はとにかく冗談ばかり言うおもしろい人、祖母は何を言うにしても、「あらぁ〜」か「まぁ〜」から始めるいつもニコニコした明るい人というポジティブなものだったらしい。


母は薬害により38歳で失明、下半身不随、そして60歳を過ぎる頃から脳梗塞を起こし始め、どんどん身体機能が衰えていき、舌や唇も動かしにくくなったので、後年は息だけで「あらぁ」「まあ」と言っていた。


それぐらいしか言えなくなってしまったのだ。



私がアメリカに行ってしまったあと、50代の両親は本当に寂しがっていたと、姉からあとで聞いた。


インターネットもなく、手紙を書いても両親の元に届くまで1週間かかり、電話料金も本当に高かったあの頃。


最初の3ヶ月はホームシックにかかって頻繁に両親に手紙も書いていたが、そのうちアメリカの生活が楽しくなり両親のことはあまり考えなくなった。


両親はどれだけ私のことを心配しただろうか、と思うと今になって申し訳ないことをしたなあ、と思ったりする。


なにしろ父は、私が明治天皇陵に行って階段を上がってくる、と言うだけで心配して、「転ぶなよ。」「気をつけなさいよ。」と言って私を苛つかせていたものだ。


先月ネットで話題になった写真家「まり」さんが撮った
心の折れる明治天皇陵階段の写真をお借りしました


子供を持つと楽しみは増えるが、ストレスも激増する。


長男(35歳)とサキ(34歳)は子供を持たない、と決めているわけではないが、持つという決断もできないそうだ。


子供のいない夫婦はいつまでも仲がいいとよく言われるのも、統計上間違ってはいないらしいし、次男一家を見ていると、長男夫婦に子どもがいないのもいいかなと思う。



なにしろコロナ禍の中の子育ては本当に大変だ。


孫たちの通う託児所も、透明ではない鼻水が出ていたら、本人とその兄弟は託児所に行けない、という規則になり、クリスマス休暇も合わせると、風邪をひいた孫たちは過去1ヶ月のうち3週間休んだ。

4歳のヒロは親を消耗させる活動的な子供
1歳のアキは比較的穏やか


次男一家は初秋にヨセミテにキャンプに行ったが、その後次男だけが11月にデスバレー旅行をしたり、マリーだけが旅行する、ということもあった。


それはいいと思う。


夫婦がお互いに、自分だけの時間を楽しむ、ということを👌と感じることができるなら、それでいい。



このあと、3月に次男は天の川を見に、またデスバレー国立公園に行くらしい。


4月にはマリーがマリー姉と二人でハワイに行くそうだ。


が、その後5月には一家揃ってヨセミテ国立公園に行くということ。



次男が車で旅行するのはいいが、行き先がデスバレーと聞くととても心配になる。


11月に行った時は親友Aと一緒だったが、今度はぜひ一人で行きたいという次男。

岩の上に立つ次男と、トラックの前に座る親友A
(ドローンで撮影)


危ないからやめてほしい、と言いたかったが大人の息子にそんなことを言ってはいけない、と自分を抑える。


でも、「自分の子供が18歳になって、デスバレーに一人で行きたいって言ったら心配で行ってほしくないでしょ?」と言うと、次男は頷く。


じゃあ、あなたもやめたら?と言いたいが我慢する。



子供のすることに干渉してはいけない。



「心配だなあ」


「やめたら?」


「気をつけなさいよ」


などなどは禁句だ。


自分の不安を子どもに伝えてはいけない。


父のそういうところがどんなに私を苛つかせたか。


もう息子たちは大人なのだ。



他には人っ子一人いない、11月のデスバレーを砂煙を上げながら走る息子のトラックの動画(ドローンで撮影)を見て思った。





今後、息子たちに言ってもいいのは「あらぁ」「まあ」だけなのかも

4 件のコメント:

  1. お孫ちゃんズの後ろ姿とっても可愛い💓
    お兄ちゃんの隣に足だけ写ってるのは猫ちゃんかな。見てるだけでほっこりします^0^

    そっか、「心配」「やめたら?」「気をつけなさい」は禁句なんですね。
    そういえば実家に滞在中私が外出するたびに「気をつけなさいよ」と母に言われるんですけど、確かに鬱陶しいですわ^^
    私にしたら足元のおぼつかない母のほうが危なっかしくて「そっちこそ気をつけてっ!!」と思いますがねぇ。
    でも親はいくつになっても子供のことが心配なんですよね・・・気づかせてくれてありがとうございます!!

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    1. akikoさん、
      ありがとうございます。後ろ姿ってなんかかわいいもんですね。
      そう、隣にいるのは猫で、兄孫が左手でなでているようです。

      親に気をつけなさい、とか言われるの本当にイラつくんですよね。
      ほんと、親の方が気をつけないといけない状態なのに、親からすると子どもっていつまでも心配な存在なんでしょう。
      私が22歳の時(40年以上前!)アメリカに出発する日、父は大きなスーツケースを持った私が転ぶかもしれないから、と自宅のある苔寺近辺から京都駅まで自転車の荷台にくくりつけて運んでくれたのですよ。
      今考えても、どうやって荷台にあの一番大きなサムソナイトが載ったのかわからないんですが、親のパワーってすごいですね^^;
      親の気持ちがわかる時には親はなし、です。

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  2. おお、苔寺の近くにお住まいでしたか。
    紅葉の季節なんて綺麗でしょうね。私は実際に紅葉の苔寺へ行ったことはないのですが、テレビで見て感動しました。
    嵐山もちかいし、そんな素敵なところで育ったなんて羨ましい限りです。

    それにしても苔寺から京都駅って遠いですよ!自転車の荷台に大きなスーツケースを乗せて・・・私だったら一歩踏み出したところで転けます^^ お父様はのバランス感覚は素晴らしい!!

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    1. akikoさん、
      たまたまその時は苔寺のそばにいただけで、もう引っ越し大好きな父は転々としたのですよ。
      アメリカに来たあとで帰国しても、今の家はどこにある?という感じでした。
      現在の実家に辿り着く前は、その2軒先に住んでいましたしね。

      はい、苔寺から京都駅は遠いですよ。そうかあ。父はバランス感覚が良かったのか〜
      褒めていただいてありがとうございます^^
      私もすぐコケてたな。

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