4回はカナダからなので、日本からの入国は37回。
そのうち15回は2006年から2010年1月までの間だった。
つまり2006年から介護往復が頻繁になったということだ。
母の介護往復はしばらく続きそうだが、日本国籍は捨てたくなかったのでまずは再入国許可証で2年間はふんばってみようと決めた。
再入国許可証は申請後4週間でレシートが届き、その後指紋を採ったあと許可証が発行される。費用は$375。申請中も日本に行って良し。
申請書を提出し指紋を採って許可証はすぐ発行された。
が、再入国許可証を持って日本からアメリカに帰ると、入国審査官に言われる。
もうそろそろ市民権を取ったら?
永住権を取得して5年たった時点で取ったら良かったのに。
なんで市民権を取らないの?
理由は?
アメリカ好きでしょ?
とたたみかけてくるんである。
そうか、もう覚悟を決めてアメリカ市民になるか。それなら介護往復を何度してもうるさく質問されることもない。申請にかかる料金は$675。市民権を申請中、国外に出るのは可。
市民権取得のためのテストに合格したあと、宣誓式は7月29日だという知らせが届いた。
その時私は日本で母の介護をしていた。
アメリカ市民権を取った人たちのオンラインフォーラムを何時間もかけて読んでみると、こういう意見がほとんどだ。
『宣誓式の知らせが来たら決して延期するな、移民局と無駄に関わり続けたいか?』
そうだな。移民局とこれ以上関わりたくない。
酷暑で体調を崩したこともあり、7月28日に帰国することに決めた。
が、7月28日に乗った飛行機は成田に引き返してしまった。
エンジンが爆発して緊急着陸をするためだった。
その夜は高輪プリンスホテルに泊まり(これはユナイテッド航空が用意してくれた)翌日のフライトに乗れると言われた。
が、それでは宣誓式に間に合わない。
それなら、と京都に引き返すことにした。
アメリカに帰ってしまったと思った私がまた京都に引き返して来たので、母は大層喜んだ。
私が『新幹線往復料金と、空港と京都間荷物を往復させた料金で35000円も損した』とこぼすと母が見えない目をキラキラ光らせた。
「母ちゃんがおごったる。」
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