アメリカを出たことがないマリーは日本にあこがれていて、二人でいつか日本に行こうと次男と長い間話していたそうだ。
おじいちゃんにももう7年会ってないから、会いに行きたいと次男は言う。
それまでは毎年夏に息子たちを連れて日本に行った。
次男は祖父母の家に着いた晩にはもう退屈して『もう二度と日本なんか来ない』と泣いていたのに、成長したものだ。
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父はこのところ穏やからしい。
ある日は倉敷にある大原美術館のことを話し、所蔵の絵の話までする。
孫の名前は覚えていないが、もう長いこと来てないなあ、と話す。
そのあと『ここ(ホーム)で働いとるんか。』と言うらしいが。
次男、マリー、私とで成田に飛び、次男とマリーは東京に2泊して京都に移動する(最終日に東京にもう1泊)。
レールパスは1週間新幹線などJRの電車に乗り放題で29110円だから、250㌦ぐらいの計算だ。
飛行機代は私が3日間調べつくして底値と思われる金額で買った。
調べてみるとユナイテッド航空は1日に4回ぐらい運賃が変動するのだ。
最終的には1053㌦で買ったが、これは悪くないと思う。
マリーにとっては初めての外国旅行なのだから、思い出深い旅行を計画したい、と次男が言う。
そして思いついたのが『すきやばし次郎』に連れて行くことだ。
数寄屋橋のオフィスビルの地下にある有名なお寿司屋さんだ。
小野二郎さんのこのお店は10席しかないし、30分で食べて出ないといけない。
が、すきやばし次郎は映画にもなり、海外から来る観光客のあこがれのお店だ。
マリーも映画を見て以来、すきやばし次郎に一度行ってみたいとあこがれるようになった一人だ。
実際には20分そこそこで食べて出ないといけないらしいし、お寿司は一番安いコースで3万円以上する。
このお店に友人Yの知り合いが行ってとても不快な思いをした、という話を聞いた。
二郎さんが板前を怒鳴り続けていた。
その真ん前のカウンターで食べていた彼は、もう二度と来るもんかと誓いながら3万5千円だかを払ったということだ。
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次男に話すと迷っている。
マリーの夢だから、連れて行ってあげたい。
サプライズにして日本旅行のメインイベントにしたい、という気持ちがあるのだ。
それにしてもみじめな気持ちになってお寿司屋さんを出ることになるかもしれない。
そんな食事のために二人分6万円以上払うのか、と母は少し心が乱れてしまう。
なのに隣で聞いていた夫が『それは是非行ってみるべきだ。』と言う。
4月に日本に行った時、夫は一人でこのすきやばし次郎を見に行ったというのだ。
二郎さんがちょうどいて、自分がお店の外から中を見ていたら、二郎さんがカメラを構える仕草をして、『しゃしん、しゃしん』と言ったそうだ。
有名な二郎さんに声をかけてもらっただけで舞い上がってしまった夫。
マクドナルドのハンバーガーを食べてホテルに帰ったらしい。