2020年2月1日土曜日

ステージング・ビフォーアフター

持ち時間は2時間。ステージングをしてくれるデザイナーが来るまで、私と夫に残された時間は2時間だった。昨日の夜遅くサンフランシスコのマンションに到着した、私と夫。今朝は7時に起きて最終的な片付けをする。

市場の動向を考えると、2月早々売りに出すのがいいだろう、という不動産業者(エージェント)のアドバイスに従って、来週売りに出すことにした。その前にすることは限りなくあったのだが、やっと最終段階に入った。

クローゼットを空にして、キッチンのキャビネットの中、冷蔵庫の中、シンクの下、お風呂の水滴、ガラスの汚れなどなど最後まで掃除が必要なところがたくさんある。

6時に起きるべきだった。7時から2時間ではとても完璧に綺麗にすることができない。

9時にデザイナーとエージェントが来て家具などを搬入し始めたら、私と夫はマンションを出て3時間ぐらい時間を潰さないといけない。朝ごはんなんぞその間に食べればいいのに、夫はわざわざサンノゼから持ってきたシリアルにパックのミルクを注ぎ、これも持参のブルーベリーまで入れて食べている。

ステージングのあとは写真撮影もあるので、水滴すら残したくないのに・・・


なんで、こんな時わざわざブルーベリーをざるに入れて洗うのか?手の平に置いて洗えばいいのに!このざるはどうやって乾かしてどこにしまうんだ?そもそも今日1日ぐらいブルーベリーは我慢できないのか!と心の中で夫に文句を言いながら、シンクを磨く。

が、夫も仕事を休んでノンストップで働いている。文句を言ってはいけない。心の中で毒づいてはいたが声に出しては言わない。

そういえば、アメリカでは『家のリモデルをするカップルがいなくなったら、離婚専門の弁護士は商売上がったりになってしまう』と言われる。『リモデル』という言葉を『家を売りに出す』と置き換えられそうだ。

ふと夫の足元に目をやると、靴を履いたまま作業している。なんで部屋の中で靴を履いているんだ!と頭に来る。「なんで土足なわけ?!!」とイラついた声で言う私。

夫は夫で、お金がかかってもキッチンのキャビネットの不具合を直さないといけない、と主張する私に「もうこれ以上お金をかけたくない!」と怒りの表情と低い声で応じる。ここでちょっとのお金をケチることで、マンションを安く買い叩かれたりすることをこの人は知らないのか!ケチ!と目の前が真っ暗になるほど腹が立つ。

極めて不穏な空気が流れる。『もうこれ以上この人とはやっていけない。マンションが売れたら離婚も視野に入れて将来のことを考えよう。』と思いながらシャワーのガラス戸を磨く。

9時になった。エージェントが来て、デザイナーが来て、トラックが到着して、とステージングが始まる。いずれ離婚しよう、とさっき決めたばかりの夫に「朝ごはん食べに行く?」と声をかけて、二人でカフェに行く。




この夫がストレスを抱えながら仕事をしてくれているから私も日本に遊びに行ったりできるんだなあ、と少し殊勝な気持ちになりながら歩く。

このマンションを売ったら、大きなローンもなくなって夫もストレスが減るだろう。とにかく、私たちの年齢でジャンボローン(と呼ばれる)を抱えるのは夫にとってものすごい重荷だっただろう。イラついて悪かったなあ、などと反省する。

3時間後部屋に戻ると、部屋の中は一変していた。

まず、ダイニングスペース。

ビフォー

アフター

書斎と呼んでいた小さなスペース。


ビフォー

アフター

私と夫が泊まる時使っていたゲストルーム。

ビフォー

アフター
違う角度から


ゲストルームのもう一面の壁にも明るい色の絵がかけてある。



リビングルームはこんな感じ。



次男とマリーが使っていたマスターベッドルームもカラフルなクッション、観葉植物、絵、ランプで見違えるようになっている。。

ビフォー

アフター

マスターベッドルームのもう一面の壁

キッチンにも明るい色の小物があふれている。



装飾は私のテイストではないが、たくさんのランプや壁にかけた絵で全体が明るくなって魅力的になっている。やっぱりデザイナーにお金を払って良かったよね、と言うと夫も同意する。それまで、$2000以上も払う必要があるのか、と渋っていた夫も見違えた部屋に嬉しそうだ。

写真撮影は終わったが、明後日部屋を見たいと言う人がいる、とエージェントが言ってたので、完璧に綺麗にしよう、とキッチンやバスルームの床に落ちていたゴミを掃除して帰ることにした。

ダイソンで3分もあれば終わりそうだ。ところが朝ダイソンを使った夫がその後充電していなかったらしく、掃除し始めた途端に電池切れした。

カッと頭に血がのぼる。

怒りは今日のマックスに達した。

使ったあと、なぜ充電しない!
充電しておくのは常識だろうに!
やっぱり離婚だ!
もうこれ以上絶対無理!

なぜ脳の血管が切れそうなほど腹が立つのか、自分でも不思議だ。

パワ ーof ダイソン

2 件のコメント:

  1. やはりプロの方が手を入れると違いますね。
    自分では絶対選ばない(選べない)絵画でも、飾ってみるとすごくいい感じです。
    そういえば、ホテルの部屋には何かしら飾ってますね。
    小さいスペースは小さいと感じないです。

    わたしもキッチンを使われたら「イラッ」とするかもしれません。
    シンクの水滴を完全にきれいにふき取るのは大変ですよ。
    でも、ブルーベリー食べたかったのかな、、。
    コンドが無事売れて、そのあとのいい思い出になるかもしれませんね。

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    1. Michikoさん、
      部屋の写真を見たマリーの第一声がNot my taste.でしたが、私のテイストでもありません。
      でも、プロがまとめた部屋は第一印象が違いました。
      特に照明がびっくりするほどたくさん使ってあって、暗い部屋という印象はありませんでした。
      家は第一印象がいいことで売れるかどうか決まることが多いようです。

      夫はサプリも各種毎日飲んでいます。
      そのくせポテトチップスやチョコレートシリアル類を抱え込んで毎晩食べていますよ。
      私はサプリ反対派だし、食べ物の好みも性格も本当に正反対です。
      まあ男女の差もあるのかもしれませんが。
      ホントに1日も早く売れてほしいです!

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