隣同士に座った長男と次男は久しぶりに話がはずみ、サキも今まではアルバイトだったのが、正社員としての仕事が決まったらしく表情が明るい。これで、息子たちが二人とも家庭を持つならもう母は必要ない(当然高校卒業の時点で子離れするべきでしたがね)。父が弱ってきていることが一番気になっているのだが、これからは日本に長期滞在することもできそうだ。
何かしら文句を言い募る父 が、100から7を引かせると51まで言える |
東京と埼玉に親戚がいるサキだが、アメリカには他に親戚がいない。お母さんは話しやすい人で、息子たちの姑はどちらも付き合いやすい人たちなのが嬉しい。食後久しぶりに会った息子たちはもっと話したかったようで、Blue Bottle Coffeeに行こうということになった。このカフェは地域的にはupcoming neighborhoodと表現される、開発途上の少し寂しい地域にある。
左からサキ母、長男、サキ、マリー、次男 |
長男たちはサキの飼っている猫の話で盛り上がり、マリーがどうしても猫がほしいと言い始める。それならシェルターに行き猫を見てみよう、という話になった。マリーも次男も猫を飼うなら子猫ではなく、シェルターの成猫を助けたいとずっと言っていた。路上駐車をしていた場所に戻ると何かがおかしい。
次男の車が誰かに鍵で左側のドア2つに一直線に傷をつけられていのだ。BMWの電気自動車、それもオレンジ色、というのは高価ではないが典型的なテッキーの車というイメージがあり、こういう地域では反感を買うのだろう、という長男の分析だ。せっかく幸福感に包まれていたのに、一気に暗い気持ちになる。損害は2000ドルを超すだろう。お金のことも悔しいが、誰かがそういう悪意を持って他人の車を傷つけているところを想像するとやりきれない。
これが鍵でつけられた傷 |
ふと、人間万事塞翁が馬という格言が頭に浮かんだ。何か悪いことが起きても、それはいずれいいことにつながるかもしれないし、いいこと(幸せ、福)が起きてもそれはまた悪いこと(不幸、禍)につながるかもしれない、ということだ。だから安易に喜んだり悲しんだりすべきではない、という意味らしい。このことが何か福に転じると信じるしかない。
シェルターにはよりどりみどりの猫がいるが、マリーはまるで髷を結ったような模様のある猫が気に入ってしまった。とても性質のいい猫で連れて帰りたいようだったが、今週末から日本に行くのにタイミングが悪すぎる。
長男とサキはアメショ(アメリカではドメスティック ショートヘアと呼ばれる)が気に入ったようだ |
次男が私と長男にささやく。来月マリーのお誕生日なので、プレゼントに猫をあげたい。前々から猫を飼いたいという話は出ていたが、遂に実現するのか、そうでなくとも綺麗好きとは言えない二人が、猫を飼い始めたらマンションはどんな状態になるのだろう、とまた暗い気持ちになる。
いや、万事塞翁が馬だ。猫によってバリバリに破れたウィンドーシェード、砂だらけの床・・・想像するのはやめる。禍も福に転じるかもしれない。マリーは早く赤ちゃんがほしいと常々言っているが、猫を飼うことで赤ちゃんから気持ちが離れるかもしれない。マリーにはまずはキャリアをつんでほしいし、学生ローンの返済もある。猫を飼うのも悪くないように思えてきた。
それに『ヅラ日記』なんてブログが書けるかも |