2017年6月21日水曜日

そして一年後

一年前の今頃、父の魂の抜けた体は階下に横たわっていた。


まだ斎場での父とのお別れがある、一番苦しくつらい時が待っているのだと思うと気が重かった。


昨日の京都は33度あり暑かった
これは四条大橋から南を見たところ
右側に川床が並んでいる



2010年9月27日、父は母とのお別れをしに斎場に行かなかった。


スーツを着て、家の前で母の乗った車に敬礼してお別れしたのだった。


とても斎場で見送る勇気がなかったのだろう。


斎場でのお別れ以上に悲しい瞬間があるとは思えない。


365日前の今頃、父とのあのお別れの儀式の時の、気も狂わんばかりのつらさはまだ経験してなかったのだなあ、と思う。



最期の日々父が何度も何度も体の上で引っ張っていた
毛布は父の写真と手紙と共にサンノゼに保管している



姉も私もまだまだ父の最期の数日を思い出しては後悔する。


介護休暇を取れば良かった、アプの方を優先してしまった、などと姉が言う。


私は勿論アメリカからもっと早く帰るべきだった、父が顎呼吸をし始めたのをもっとしっかり見極めるべきだった、あの時寝てしまうんじゃなかった、などと思う。




2階にあるアプの部屋で私がテレビを身始めると、
すぐ隣に来てひっくり返り、腹を撫でろと無言の要求をするアプ



でも、悲しみが癒えてきているのも事実だ。


愛する存在といえど親の介護は重苦しい問題であり、その介護の心配がなくなったことで正直ホッとしている。


こうして時間が経つにつれて、心が回復していくのも感じる。


父はリビングルームのこの場所で
小さな椅子に座り外を眺めていたものだ


あの斎場で慟哭した日から一年たった今、両親のいなくなった実家をステージングして売ることも考えられるようになった。



現時点ではアプの運動場兼洗濯干し場としてステージングしてあります

2017年6月13日火曜日

男と女

2人の娘を持つ友人二人と飲茶を食べに行った。二人とも長女とはちょっと距離がある、と言う。どうしても女同士だと女のいやな部分がお互いに見えてしまうのよね〜、と二人で話が弾んでいる。

男の子はかわいいでしょう?と私に聞く。単純だし何もややこしい感情もなさそうだから、それはかわいいよ。でも、かわいいけど結婚したらもう母親は御役御免になるし、その点いつまでも一緒にお買い物に行ったりできる娘がいないのは寂しいよ〜、と答えた。

それもそうねえ、と二人は納得する。

母の日だって彼女たちの娘さんはちゃんと色々計画して、マッサージ連れて行ってくれたり、美容院に一緒に行ったりしてアドバイスしてくれたりするらしい。うらやましい限りだ。

Santa ClaraにあるChina Stixというところで飲茶
このうどんに見えるのはお豆腐だった

うちなんかHappy Mother's Day!というメッセージは来るがそれだけだ。マッサージなんか連れて行ってくれないし、当然一緒に洋服を買いに行くわけでもカフェに行くわけでもない。その上母の日に私がせっせと作ったものをワシワシと食らう。母の日なのにご飯作ってくれてありがとう!という感謝の気持ちもなさそうだ。

悩み事があっても息子たちには相談できない。娘だったら一緒にカフェでカプチーノなんぞ飲みながら話が弾むんだろうなあ、と友人たちがつくづくうらやましい。

日本語を教えていても男生徒と女生徒の違いが見えておもしろい。男の子はヒントを与えても深い意味はなかなか理解してくれない子が多い。直球を投げないとこちらの意図することをわかってくれない。が、女の子はちょっとしたヒントから色々な考えを展開して、こちらの気持ちを推察してくれる。勿論男前の女の子もいるし、繊細な男の子もいるが。

繰り返すがそれは猫を見ていても同じだ。多分アイドルとタイタンの生い立ちの違いなのだろう。アイドルは2歳で次男達が保護したのが理由だとは思うが、とにかく次男とマリーにしかなつかない。表情もいつも複雑な感情を表しているように見えて仕方ない。


女は家人がいない隙に食い物を探す
(カウンターの上にいるアイドルを監視カメラでキャッチ)

タイタンはその点何も考えていない。ただただ虫を追うか食べ物のことしか頭の中にはないようだ。

男はスポーツのことしか考えない

複雑な気持ちを共有できそうな娘がほしかった。が、自分の息子にはそんな単純な男の子を持つ喜びも味わってほしいという気持ちがある。自分自身のことを考えても、時々自分の感情を持て余して大変だ。

とはいえ、男よりも女の方が賢いのも確かですがね。

なにしろ・・・

女は哲学する
なにしろ・・・

男はスポーツのことしか考えない

2017年6月12日月曜日

ニュースランキング

イタリアから帰ってきた長男とサキに、写真鑑賞会を開くことを提案した。場所は次男のマンションだ。一番の目的は猫たちに会うこと。そしてタイタンがどんな状態か確認すること。

タイタンに凍ったペットボトルの表面についた水滴を舐めさせるのも試したい。素晴らしいアイデア!と次男に先週話したものの、やはり次男もマリーも試してなかった。残念なことに、タイタンは一舐めしただけでそのあとは興味を失ってしまった。なかなか手強い。

それでもこれからも何度か試してみようと思う

次男にこれから時々試してみたら?と言ったが、タイタンはお水を飲むようになった、ウェットフードも食べているから大丈夫ということ。これ以上ああしろこうしろ、と言いたくない。

タイタンは外に面した側の窓枠に置いたお水だけを飲むという

とりあえずタイタンは元気そのものだし、長男とサキが持ってきてくれたお土産のおもちゃでパワフルに遊んでいる。

キャットニップ(イヌハッカ)の入ったおもちゃで大興奮

鑑賞会が始まった。長男とサキは同じ大学に在籍していた頃はそれぞれ他の子と付き合っていたのに、卒業後今度は二人が付き合い始めるようになった。そしてそれからもう7年。4年前からはイギリス、フランス、日本、タイと毎年10日間一緒に旅行するようになり、今回はイタリアでローマ、フィレンツェ、ベニスと廻ったらしい。

毎日パスタとデザートを食べていた長男は太っていた

1600枚にもわたる写真を1時間半かけて見たあと、最後の写真がさりげなく映し出された時、えええっ!と大きな声が出た。今日のニュースランキング第1位。

最後の写真は婚約指輪をつけたサキの手だった

次男がマリーと結婚し、2匹の猫が来て、2ヶ月後には初めての子供が生まれる。そして長男はサキと結婚する。こうしてどんどん家族が増えて行く。7年前には母が、そしてちょうど1年前には父が死んでしまったが、こうして周りにまた人が増えて行くのだなあ、と車に乗り込んで走り去る二人を見ながら思う。

それにしても今回のニュースランキング第2位はアイドルが2週間で0.5ポンド減ったことだ。常時お皿に餌がある状態にするのをやめて、決まった時間に決まった量だけあげるようにしたことが功を奏したようだ。

それに比べてウェットフードをあっという間に食べ終えるタイタンは、2週間で体重が1ポンド増えた。

ウェットフードを食べ終えたあと、
名残惜しそうにお皿を見つめるタイタン

ニュースランキング第3位は、肥満がアイドルからタイタンにバトンタッチし始めたことかもしれない。

どっしりと重くなったタイタン

なんてことを次男とマリーに話したら、タイタンが口を開けた。

フェイクニュース!

2017年6月4日日曜日

オスとメス

オス猫とメス猫の違いなのか、あるいは単にこの2匹の性格の違いなのか、アイドルとタイタンの違いは人間の男女の違いに近いものがあるようにも思える。犬には笑顔があるのに、猫には笑顔がない。でも、アイドルの表情に比べるとタイタンの表情は単純で何も考えてないように見える。

まるで人間の男女と同じではないか。もしかしてアイドルにも引き出しがあるのだろうか。その引き出しがタイタンにはないのかもしれない。それともこれは成猫と子猫の違いなのか。

屈託のない表情のタイタン

アイドルはいつも何かを熟考しているように見える

1週間前にサンノゼに帰ってきたので、二匹の様子は次男とマリーが送ってくる写真でしかわからないが、タイタンも元気そうだ。なんでもメス猫の尿管はボールペンの先ぐらいの太さだが、オス猫のそれはシャーペンの芯ぐらいしかないらしい。だから、水分摂取量が足りないと尿路疾患にかかりやすいということだ。

次男がインテリアデザインを担当した寝室で寝るマリーと二匹の猫の幸せな時間
来週は私に壁のペンキ塗りを手伝ってほしいということ

次男いわく現在タイタンが食べるのは、ウェットフードが1日1缶だけで、あとはカリカリだそうだ。お水は相変わらず飲まない。シリンジでお水をあげてもいないようだ。全く足りないがそれに関しては何ももうアドバイスしたくない。心配だが仕方ない。

アイドルは相変わらず太っているし、キャットタワーにも上がることはまずないそうだ。それにしてもこの2匹を見ていると笑えてくる。タイタンの男特有の単純さに比べ、アイドルのシリアスな表情はまるで、姉が弟に嫉妬しているように見えるからだ。

この前空き箱で家を作ってあげたが、
アイドルは入らない(入れない)

半年前にタイタンがやって来た時、アイドルは新参者に対して猫パンチを何度もかましていたが、最近はとりあえず仲良くやっている。マリーに寄りかかって寝ている姿は安心しきった表情で、幸せそうだ。

少なくとも今は。

この腹の中に何が入っているのか知る由もなく・・・