ちょっと古いが去年(2017年)の夏の東京の話。
去年の夏、東京での一番の目的は六本木にあるF眼科に行くことだった。
なにしろアメリカの眼科で『網膜剥離が起きたら云々』と脅されて以来、目のことが気になって仕方ない。
が、いつも行くK病院で4人の眼科医に会ったが、どの医者もイマイチ信頼することができなかった。
よし、それならば日本で行ってみよう、スーパードクターと言われるF眼科医。
テレビや雑誌などでの知名度も高い。
この有名なF眼科医の診察を受けてみよう、と思って4ヶ月前に予約したのだった。
万が一日本にいる間に網膜剥離が起きたら、このF医師に手術してほしい。
8時半に予約はできたが、それでも診察は一日かかると思っておいてくださいね、と言われる。
患者数は一日200から300人ぐらいらしい。
日本全国からどころか、海外からの患者さんも多いとか。
 |
| 待合室窓から正面に見えるミッドタウン |
8時半の予約だが、7時45分に到着したらすでに8人ぐらい待っていた。
その人たちと話すと、どの人も他の大学病院で網膜剥離や白内障の手術を受けたものの、予後が悪くF眼科に連絡した。
すると、すぐ手術をし直しましょうと言われ、九州や東北から来て近隣のホテルに滞在している、ということ。
8時20分ぐらいにガレージのドアが開き中に入る。
まずは検査室に行き、10項目の検査をすることになる。
屈折検査
矯正視力検査
精密眼圧測定
細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)
角膜曲率半径計測
精密眼底検査(両側)
レーザー前房蛋白細胞数検査
光学的眼軸長測定
細隙灯顕微鏡検査(前眼部)後整体染色再検
涙駅分泌機能検査(シルメル法)
というリスト。
この10項目の検査はいっぺんにあるわけではない。
1つがすむと待つ。2つすんでまた待つ。と延々と待つことになる。
その間、鹿児島から来ているという70代と40代の母娘と仲良くなって、ノンストップでおしゃべりをする。
待合室は患者で溢れかえっている。
診察室は3階。手術室は4階5階、などとエレベーターで移動するのだ。
1階にはレストランもある。
 |
| ビルもレストランも瀟洒な印象 |
なんでもF眼科医の、医食同源という主義からできたレストランだそうだ。
検査が7、8 項目ぐらいすんだところで、F医師ではなくS医師の診察を受け瞳孔を広げることになる。
私の目の状態は緊急性もないので、F医師ではなくS医師の診察になったのだろう。
それはいい。
いざとなったらF医師に会えるのだろうから。
検査がすむのは15時ぐらいになるので、一度レストランで昼食をすませてきてください、と言われる。
 |
| 定食はどれも1000円 |
昼食のあといくつか検査をして、もう一度S医師の診察を受ける。
眼の中にコンタクトを入れて詳しく見たあとS医師が、私の視力は1.0と0.7なので網膜剥離の可能性がそんなに高いわけではない。
網膜剥離はどちらかと言えば近視の人に起きやすい。
白内障もそう進行しているわけでもない。
ただ、剥離が起きた場合決して他の病院で手術しないでください、うちに来てください、と念を押される。
とても穏やかで知的な印象のS医師に好感を持つ。
実はこの検査機器を見た時点でかなりびびっていた。
なぜなら私には医療保険がない。
一体いくら支払うことになるのだろう。
10万円?
20万円となると、手持ちのキャッシュがない。
最初にいくらか聞いておけば良かった。
とそのことばかりが気になっていた。
 |
| アメリカの眼科では見たことのないような検査機器が並ぶ |
なのに、初診料とドライアイの点眼薬込みで、13000円ちょっとと言われた時はびっくりした。
アメリカではありえない。
そもそも西洋医学よりも中医学とか漢方の方に興味がある。
西洋医学は対症療法なのに比べて中医学や漢方は未病(病気の一歩手前、病気になる前の状態を表す中医学の言葉)を防ぐための医学だと信じている。
そのためには日本で老後を過ごす方がいいのかもしれない。
いや、いい先生に出会うことができるかどうか、アメリカでも日本でもまずそれが一番大事なことではないか、と考える。
東京だとそういう選択肢も多そうだ。
とりあえず眼科はこれからも日本で行くことにした。
なにしろ日本の病院だと、待ち時間もいろんな人と話しているうちにあっという間に過ぎる。
素敵な靴をはいていた女性に話しかけたらおしゃべりがはずんで、また1時間がすぐ過ぎた。
東京にはフレンドリーな人が多いので、声をこちらからかければいくらでも話してくれる。
自分の靴を脱いで私に履いてみていいよ、とまで言ってくれる美しい女性。
こうしてあちこちで見知らぬ人と話せるのは、アメリカで長く生活しているせい?
だから私自身もフレンドリーだから?
お友達を作るのがうまいから?
それともこの距離感の作り方はもしかして・・・
 |
| おばさんの距離感? |