Morning Gloryというマフィンは甘さ控えめとはいえ、 日本のマフィンには完全に負けている |
帰るとすぐ刺繍に取り掛かる。なにしろ『気分』になっている時どんどん進めていかないと、また『気分じゃなく』なってしまう。今のうちにできるだけ続けないと。
が、間違いに気がついてまたほどくことで時間を失う。
なにしろアメリカの印刷技術はすさまじく悪い。ピアノの楽譜を買った時びっくりしたのだが、はっきり印刷されていない音符があちこちにある、楽譜のページがどんどん外れていく(つまり製本技術もひどい)。
矢印部分は明確な記号が判別できない部分 赤は推測できるが、緑はハートか三角か推測できない |
こういう判別不能部分がそこらじゅうにある |
老眼も加わって間違いが増える。
例えばこの兵隊さんの足部分 |
こうして記号を見極める時間と、ほどく時間が加わることでこのストッキングにかけた総時間数はかなりのものになりそうだ。
星にも2種類あって緑矢印部分はダークブルー 赤矢印部分はゴールド この見分けがついていなかった |
故にダークブルーで刺してしまった部分 上からゴールドを刺したが、これもやはりやり直ししないといけないだろう |
が、その姿を家族は目撃していない。ほとんどは自宅に一人でいる時に刺繍しているからだ。
姑のクリスマスストッキングは、出来上がったものを義兄がコロラドからサンフランシスコに出張の折持ってきてくれた。無口な夫と違い、口から生まれたような義兄は『ママが作ったこのストッキングはものすごく緻密に作成されていて、このビーズの数だけでも見てみろ。もうすさまじい時間がかかってるんだぞ。ママはさすがだな。こんなすばらしいストッキングを作るなんて。ほらほらほら。』とノンストップで宣伝するんである。
決して悪い人ではないが、義兄に接していると『男のおばさん』という言葉がいつも頭に浮かんでくる。
一方、私がこんなに時間を費やしていることを知る家族はいない。ほとんどは一人の時刺しているからだ。
夜は夫がいる前で刺すこともあるが、私がシコシコ手芸をしている姿が夫の視野に入っても、そこから『何を作っているんだろう』とか『手芸も大変なんだな』という思考が展開がしていくわけではない。私の姿はキッチンにあるテーブルやお鍋と同じく、景色の一つとしてしか夫の脳には登録されていないはずだ。
日々老眼がますますひどくなり夜になると目がかすみ、肩こりで背中は鉄板状態になっていてもう限界なんだけど〜、と心の中では思っているが夫にそれを言うわけでもない。
だからここで宣伝させてください。
ほらほらほら |