確かに半袖から出た腕が、毎日チリチリと焼けるように痛い。
ブログに34度で涼しいと書いたら、それを読んでくれた友人Sえさんからからメールが来た。
『34度で涼しいなんて、カッコいい〜』だって。
え〜、そんなぁ、ホンマに?ちょっとかっこ良かった?なんて嬉しくなった。
が、早朝のテレビで頻繁に呼びかけている声で我に返る。
『高齢の方は暑さを感じにくいので熱中症になりやすいのです!温度が高い時は冷房をつけてください!水分をしっかりとってください!』
炎暑の日本での生活がもうすぐ終わろうとしている。
暑さで体調を崩してドタキャンをするのがイヤで、友人に会う約束はしなかった。
そして姉と過ごすことが多かった今回の滞在。
その中で強烈な印象を残したのは東京の電車で遭遇した人々だった。
午後2時の有楽町線。
私の隣に20代後半?ぐらいの妊婦さんが座っている。
そしてその妊婦さんの前に立った40歳前後の女性が、大きな声で妊婦さんに話しかける。
二人に面識があるようには見えない。
「私、妊活中なんだけどダメなんです〜。授かり方を教えてください!病院行ってもダメなんでぇ〜。」
凍りついた表情で、じっとうつむいている妊婦さん。
早朝の山手線。
吊り皮につかまって立っていた私の前に座っていた男性が、降りる駅で立つ。
私が座ろうと尻を半分座席に置いたところに、1メートル横で立ったまま漫画を読んでいた50歳前後の男性がダッシュ。
私を押しのけて座る。
ワナワナするが声が出ない。
夕刻の横須賀線。
座っていた私の前の座席に座っていた女性が、駅に着いて降りる。
駅で制服の高校生が乗り込んで来た。
その空いた座席を指差して、大声で叫ぶ。
「そこ!座ります!」
固まっている人々の中、高校生悠々と着席。
おもしろ過ぎるではないか。
ある日中央線で乗り込んで来た老人を見て胸が詰まった。
その姿は80代だった父の姿と重なった。
優先席に座っている学生や若いビジネスマンらしき人々は、誰も立たない。
老人はドアのそばに行き持ち手を握る。
父も電車で座れない時は、ああいう風に立ったまま外の景色を見ていたのだろうな。
たまらない気持ちになった。
老人に私の席を譲ろう。
私の座っている席から老人の間には、2メートルの距離がある。
私が立った時点で、目の前の疲れた男性2人のうちのどちらかが座ってしまうだろう。
3分ほど逡巡した。
よし!
私はハンドバッグから傘を出し、座席に置いた。
こうしておけば誰もそこに座りはしないだろう。
そして老人に向かい1歩踏み出した。
いや、踏み出そうとした。
が、斜め前に立っていた子供を連れたママに阻まれた。
ママが言った。
「xxちゃん!傘の横に座っちゃいなさい!」