大丈夫、ってホントなのだろうか。
まるで黒いフライパンがトイレに落ちたような、そんな血尿だった(この表現、変?)。
まあ、でもそんなものなのだろう。
しばらくすると、砂のような石が10個ぐらいバラバラと出て来た。
とにかく水分を摂るしかない。
今日も一日起き上がることもできない。
友人が仕事のあとお見舞いに来てくれると言ってくれたが、断った。
嬉しいが、今日はただただ寝ていたい。
父が気になるが、姉からの報告によると変わりはないということだ。
しかも、食事は今までの形の全くないゼリー状のものから、また固形に戻してもらったということ。
アンパンやサンドイッチも食べられる父なのだ。
こう言ってはなんだが、父のホームの食事はまずい。
びっくりするほどまずいのだ。
薄味にしてある、というのとはまた違うまずさで、いつも気になっていた。
人生の最後の数年をこんなまずいものを食べる毎日では、いくらなんでも父がかわいそうなのではないだろうか、と。
食べるということは、人間の大きな楽しみのはずだから。
が、いつも最終的には同じ結論に辿り着く。
父のようなむずかしい人を介護してくれるホームに、どうして文句が言えようか。
食事がまずいのなら、家族がおいしいものを持って行ってあげればいいのだ。
だから、姉は毎晩鰻やお饅頭を持って行ってあげているようだ。
そして、姉は父と四文字熟語の練習と引き算や尻取りをして帰る。
そうすると父は気分が高揚して、姉もホームをスムーズに出られるそうだ。
それがうまくいかない時、父は『帰らないでほしい。』と懇願する。
姉は仕事から急いで帰宅してアプの世話をして、1時間後にホームに行く。
ホームで1時間過ごしたあとは、一刻も早く帰りアプを散歩に連れて行ってやりたい。
そういうのを聞くと、早く帰ってあげたいと思う。