2019年5月29日水曜日

パワー of ラブ

5月23日までに、マリーは新しい職場に就職を決め有頂天になっていた。

履歴書を送付したあと、電話でのインタビュー、on siteつまり企業に出向いて上司となる人と面接、その上の人との面接などなど数々の面接をすませ、各企業の人事課と話し年収や福利厚生の交渉をする。

3週間そういうストレスにまみれていたマリーだったが、今は求人がたくさんある時。オファーが次々入ってこの世の春、という状態の中にどっぷり浸っていた。

5月24日、保育所にヒロをピックアップに行ったマリーの目の前で信じられないことが起きた。

保育所は62歳の女性Jが経営し、女性の50台の妹Wが手伝っている。彼女たちはマリー母従姉妹の娘の夫の母親とその叔母だ。親戚しか預からない、そして料金が親戚ディスカウントで月額$1300。料金よりも何よりも心から信頼できる人たちに子供を預けられる安心感。これがあるからこそ、次男とマリーは狭くなってきたサンフランシスコのマンションに、少しでも広く住めるよう工夫しながら住んでいたのだ。

現在通う保育所はとても狭いが、ヒロはリラックスしている


次男の職場はマンションから60キロ、サンノゼの我が家からは37キロ。家の大きさと裏庭があることを考えて、二人はサンノゼに住むことも考えた。が、とにかくこの信頼する保育所以外にヒロを預けることはありえない、とサンフランシスコに住み続けている。

ところがその日重大事件が起きた。

妹Wの方が姉Jに向かって「もうこれ以上ここで働くのは無理。私は出て行く。」と宣言し、保育所から出て行ってしまったのだ。預けられている子供の数は少ない時で6人、多い時は10人。この道36年のJといえど、一人で子供たちを世話するのは無理だ。

金曜日にこの事件が起きた。事件後一応今日がWのいない保育所初日(月曜日は祝日)。経営者Jのご主人が仕事を早退して手伝うということだが、もう信頼感や安心感はなくなってしまった。

実は妹Wは離婚しているのだが、最近恋人ができたらしい。保育所を飛び出し恋人の元に行ってしまったWが保育所に戻ってくる可能性はとても低い。万が一戻ってきたとしても、次男とマリーはWへの信頼を完全に失ってしまった。いつまたWが保育所を出て行くかわからない。

となると、激戦区のサンフランシスコで保育所が空くまで待機するか、あるいはベビーシッターを見つけるか。そんなことをしている時間がないので、サンノゼの我が家のそばに最近できた保育所に空きがあるかどうか次男が問い合わせた。

すると、なんとあと1席だけ空きがあるということ。料金は今までの保育所のちょうど2倍である$2600。$300のデポジットをその場で払って席を確保した。サンフランシスコで安心できる保育所がすぐに見つかる可能性は低そうだ。ということは、もしかしたらヒロは早ければ6月からサンノゼの保育所に通い始める可能性もある。

つまりマリーがサンフランシスコ勤務という可能性は消えた。サンフランシスコに住みながら、サンノゼの保育所に子供を預けるというのはどう考えても無理だからだ。

サンノゼでまた一から仕事探しを始めないといけないマリーは愕然とするが、気を取り直した。次男はマリーに8月いっぱいは家にいて仕事探しをし、9月からの勤務を目標にしたら?と勧めている。それまでに二人はサンノゼの我が家に引っ越してくる。

自分たちは子供部屋2つを3人で使うから、私と夫は今まで通りマスターベッドルームとサンフランシスコのマンションを使えばいいし、今までと同じ金額の家賃も引き続き毎月支払うと言う次男とマリー。

夏以降私と夫はサンフランシスコに住み、サンノゼに滞在する時は
玄関を入ってすぐ左側にあるバスルームと部屋をリモデルして、
いずれ私の部屋として使うことになりそうだ

現在は夫の物で満杯状態

まあ、家の交換に関してはまだまだどうなるかは未知数だが、この夏にはなんらかの動きがありそうだ。

「それにしても恋のパワーってすごいね〜。あんなに子供たちをかわいがっていた保母さんが家出してしまうんだから。」と言う私にマリーが顔をしかめる。「だって彼女はもう50歳ぐらいなのよ!ありえない!やだわ〜。」だって。

横で聞いていた姑や小姑たちも「いい年して、なんとまあ。」と同意する。皆想像力に欠けているなあ、と私は思い出す。父のホームで日々起きていた現象。

老いらくの恋 in わいわい広場

2019年5月28日火曜日

ゲームチェンジャー

今朝の私、精神的にボロンボロンです。頭痛、眼痛、体はフラフラ。何も考えられないし、何も考えたくない。

今朝姑と義妹2人がコロラドに帰った。3人は我が家に4泊していたのだ。

義妹1が泊まった部屋

義妹2と姑が泊まった部屋


彼らの滞在中、2つの事件が続けて起きて眠れない夜が続いた。

このドラマを要約すれば以下になる。

  • マリーが5つの会社に応募し5つの会社からオファーをもらった。が、予期していなかった出来事(ゲームチェンジャー)があり、試合の流れが一気に変わった。マリーは結局5つのオファー全てを断ることになった。
  • 次男たちのサンフランシスコのマンションと、私と夫が住むサンノゼの家を交換することになった。ヒロが小学校に通い始める時を目安に計画をしてはいたが、4年早まって遅くても8月までに交換することになってしまった。

詳細はこれから少しずつ書きたい。が、今日はとにかく姑たち3人が帰ったあとの後遺症なのか、頭痛で目を開けているのもつらい。私はサンノゼというホームにいながら、彼女たちに囲まれているストレスで禿げそうなほどのアウェイ感を味わう4日間だった。

左から義妹1、次男、姑、マリー、義妹2


こんなことぐらいでなんでストレスを受けるんだろう、なんでもっと言いたいことを言わないのだろう、そもそも私の人間性の問題もあるのだろう、だから彼らは私のことが嫌いなのだろう、と今朝はとても後味の悪い思いを噛みしめている。

来年も来る、と約束して帰った3人(前回来たのはちょうど1年前、その前はその半年前)に、また来てね〜、とテキストを送りながら次回の訪問への傾向と対策を練ることにした。とにかくサンノゼは私の家なのだ。

どうにかホームアドバンテージを取り戻すのだ!

ヒロを見習うのだ!



どこであろうと
ホーム

2019年5月19日日曜日

抗体

抜き打ちテストがあった。

アメリカでは、はしかが大流行中だ。ヒロが保育所からはしかの菌を持って帰ってきたら私に感染する可能性もある。帯状疱疹の予防注射を友人が最近受けたというのを聞いて、私も受けることにした。ついでに、はしかの予防注射も打ってもらおうとかかりつけ医にメールしたら、まずは抗体があるかどうか調べましょう、ということだった。抗体があれば予防注射は必要ないらしい。

抗体は血液検査によってあるかどうかがわかる。病院では検査室に行くと何も言わなくても、かかりつけ医からあらかじめ送られてきている必要な検査リストに基づいて、検査が行われる。ところが一つだけと思っていた血液検査なのに、採取菅は2本あった。もう一本はHgbA1cの検査のためのものだったらしい。

病院の待合室

過去2ヶ月の平均血糖値がわかるHgb1Ac値。世にも恐ろしい検査だ。

が、今回の数値はなんと・・・

過去4度の検査結果


前回5.9%だった数値が5.5%に下がっている。検査日の2ヶ月前と言えば3月16日。餓鬼(痩せてはいないが)のように食べ物を貪っていた3月の日本滞在の真っ只中。たった2週間の滞在だったから、1食でも絶対に絶対にまずいものを食べるものか!と次は何を食べるか、そればかり考えていた。朝は美味しいパン屋さんのパンか、カフェでのモーニング。お昼は毎日外食。夜は外食かお弁当。

もちろんその合間には、和菓子かケーキを食べたい。

今回のヒットもろこし菓子

とにかく検査日の2ヶ月前にさかのぼってみると・・・

3月16日
3月17日
3月18日
3月19日
3月20日
3月21日

3月22日
3月23日
3月24日
3月25日

日々、文字通り『食べることだけが生きがい』という生活を続けていた。いや、一日1食だけの写真だと伝わりにくいかもしれないが、この1食の他に脂肪分や糖分たっぷりのものを口に入れていた。夜10時過ぎてもデザートを食べていたのだ。

そしてカリフォルニアに帰ってきてから、毎日食べているものと言えば・・・

5月18日

5月17日

5月16日

5月15日

5月14日

5月13日

5月12日

5月11日


これでなぜ5.5%?と思いながら八百屋さんの前を通り過ぎていた時、ふと気がついた。

果物だ!

日本では果物が高いから食べてなかった。カリフォルニアでは毎日大量に果物を食べている。特にこれからは果物が美味しい時期だ。サンフランシスコにあるSTEEPというアイスクリーム屋さんの、フルーツとアンコの入ったアイスクリームを早く食べたい、と毎日のように思っている。

糖抗体ワクチン様、お待ちしております

2019年5月7日火曜日

父への電話

今度こそ本気で断捨離しようと思っている。



家具は買ってくれた日本人ご夫婦の手に渡り、リビングルームは少し広くなった。



次は寝室。



思い切って物を捨てないと片付かない。



古いiPhoneも捨てようかなと思ったが、もう2年ぐらいすればヒロのおもちゃになるか、と思ってとっておくことにした。



黄色いiPhoneホームボタンのシールも貼って準備万端。



ふと何が保存されているか見たくなった。



充電してファイルを次々と開けてみる。



2011年から数年の出来事がいっぱい詰まっている。



もう忘れていた息子たちの写真、日本からのメール、テキストメッセージ、などなど懐かしく見入ってしまった。



ほとんどのファイルを削除して、ふとSkypeをクリックしてみる。



履歴を見て胸が詰まった。



そこには父の名前ばかりが並んでいる。



スクロールしてもスクロールしても全てが父だ。



1週間に一度かけている頃もあるが、2週間に一度、1ヶ月に一度の事もある。



名前をクリックしてみた。



父の電話番号が表示される。



電話のマーク📞とともに。



スクリーンを穴があくほど見つめた。



胸の中の鼓動が聞こえる。



この番号をクリックしたらどうなるのだろう。



父が出るのだろうか。



父はまず言うだろう。



『ちょっと待って。補聴器を調節する間、ちょっと待って。』



そして聞くだろう。



ひ孫はどうしているか。



それから言うだろう。



『あのxxx(次男の名前)が父親になるとはのう。』



そしてホーホーホーと父独特の笑い声をあげただろう。



なぜ父に一ヶ月も電話してない時があるのだろうか。



もしかして私が日本に帰っていた頃なのだろうか。



父が自宅にいた頃、なぜもっと父の部屋に行って話してあげなかったのか。





私は知っていた。


父亡きあと、
この写真を見ては泣くだろうことを

2019年5月4日土曜日

第一印象

そろそろ断捨離を始めないといけない、と思っている。始めようと思ったのが5、6年前だったと思うから、そろそろどころかもう半分ぐらいは終わってないといけないのに、なかなかお尻が上がらない。

いらない家具とヒロのおもちゃで満杯のリビングルーム


友人のご主人が60歳で退職するのを機に、日本に引き上げることになった。家具を日本人向けの個人売買サイトで売りに出したらすぐ売れた、ということ。私も出してみた。

するとTさんという方から、ダイニングテーブルと椅子のセットを見せてほしい、というメールがきた。ご夫婦で現れたTさんカップルは明るく社交的で感じがいい。話しているうちにどんどん値下げしてあげたくなる。テーブルと椅子、そしてソファを買ってくれたTさん。オマケにキャビネットも差し上げることにした。

とりあえず大物が片付きそう


人に与える印象は最初の10秒以内で決まる、と聞いたことがある。Tさんカップルの印象は3秒で決まった。こういう人は得をする一生なんだろうなあ、と思う。

それはマリーにも言える。カリスマ性のあるマリーは、第一印象がとても良い。私もアイスクリーム屋さんでアルバイトをしている17歳のマリーを初めて見た時、可憐な表情に一目惚れした。

月曜日にリストラされたマリーに、次に働きたいのはどんな会社?と聞いてみた。『セクシーな会社』だそうだ。

つまり魅力的な雰囲気ということなのか?なんだかよくわからないが、でもなんとなくわかる。マリーが月曜日まで働いていた会社は、名実ともにアメリカでもっともセクシーな会社だったと思う。

月曜日にリストラされ、火曜日水曜日で履歴書をアップデートし、水曜日の夜にオンラインで数社に提出し、昨日木曜日はいくつかの会社とは電話での会話によるスクリーニングをした。今日はいよいよまず1社目S社で、上司となる人との面接という状況だ。

次々と洋服を替えては私にアドバイスを求めるマリー


用意のできたマリーを見て思った。『第一印象・・・強烈だろうな。』


さて、どうニャることか

2019年5月1日水曜日

マリーがリストラされた!

昨日の午後、日本時間での平成最後の日のことだ。

先週上司からこっそり、会社での職務が近いうちに無くなる、とマリーは耳打ちされていたのだが、やはり実際に失職するのはショックだったようだ。私の懸案事項ナンバー1はこのリストラのことだった。

マリーの会社は、若い子たちが働きたい憧れの場所ナンバー1と言われているらしく、マリーもそこで働くことを誇りに思っていた。が、リストラにあう時はあう。仕方ないと思いはしたが、やはり本当に悲しかったようだ。

2018年の発表によれば、ベイエリアでは年収$117,400以下、つまり1300万円以下の所得では低所得世帯と呼ばれるそうだ。なんともバカバカしいほど現実的ではない数字だが、シリコンバレーの物価は高く、1300万以下の収入では生活は楽ではないということなのだろう。生活していくために共稼ぎは必須だ。




マリーは早速就職活動を始めるのだろうが、仕事が決まるまで数ヶ月かかるかもしれない。一昨年からカリフォルニアでは、それまでの給料額を面接官などが尋ねるのは違法になった。それがマリーに不利に働くのか有利に働くのかはわからない。

シリコンバレーのIT企業は、従業員に会社側が老後のための年金掛け金を補助する、携帯電話料金を払う、社食は無料、会社の豪華なバスで通勤するオプションあり、といったような福利厚生を充実させる会社が多い。マリーも最新のiPhoneを会社から支給されていたが、これも返却しないといけないのだろう。ということは携帯も自分で買わないといけなくなる。

医療保険もその一つだが、失職するとすぐ個人的に保険に加入しないといけない、など色々な手続きも増えるのだろう。次男たちは私たちに毎月家賃を払っているのだが、それは今後大丈夫なのだろうか。ヒロの保育所はそのまま続けるらしいから、そのお金だって引き続きかかる。

私が心配しても仕方ないが、やはり心配してしまう。

しかし、こんな時何かを捨てることがとても苦手な夫が光るんである。最近ヒロが我が家に来ると、夫が長年捨てずにキープしていた息子たちのオモチャ類でよく遊ぶ。


長年どこに隠してあったのか

マリーが使えそうなものもあったりして・・・?

よりどりみどり