2014年11月5日水曜日

父の状態の謎、答えが出た

森先生の診察室では久しぶりに父の明瞭な受け答えを聞いた。信じられない。ここまでちゃんと話せる父をしばらく見てなかった。夜は寝られます、などとしっかりした言葉で先生に返事する父。

待合室でもかけ算、引き算などがちゃんとできたし、自分の順番を待つ間の意識がはっきりしている。他の患者さんが先生の診察室に入るたびに、自分の番はまだかとがっかりしている。

父は1ヶ月前に軽い転倒があり、発熱があった。この因果関係ははっきりしないが、その頃から突然幻覚が増え会話ができなくなった。1週間食べられない日が続いたあと点滴をして回復に向かってはいるが、その後も微熱が続きコミュニケーションが全く取れない日が多い。飲食も殆どできない。1ヶ月前の父からはどうしてもこの突然の変化が理解できない。

待合室での父

10月中旬にはO病院で内科医の診察を受け、首の痛みと幻覚は髄膜炎からの症状という可能性がある、腰椎穿刺検査をしましょう、大きな病院に行ってくださいと言われた(これは痛い検査で父がかわいそうなので受けなかった)。抗生物質も処方されたが、全く父の状態は改善しない。CT検査、血液検査、尿検査からも結論は出なかった。

森先生の病院では血液検査、CTとレントゲン検査を受けた。以下が検査結果から診断した先生の答えだ。

老人で怖いのは細菌感染症と肺炎ですが、白血球の数は正常で腎機能も問題ありません。身体に関しては大きな問題はなさそうです。検査結果が示しているのは脱水ですが、これは食事も殆ど摂れないところから来ています。

今日は会話が成立している。つまり意識が清明であれば成立する、混濁していると成立しない。ベット上の生活になると意識の清明さは下がる。言うこともとんちんかんになる。せん妄状態になる。意識が清明になってくれば今のような会話は可能です。出発は転倒なのか発熱なのか、どちらが先かはわからないが、身体の中に何かの異変が起きた。結果横になって過ごす時間が長くなり、それで睡眠などのリズムを失い、昼となく夜となくという状態になっている。
問題はちゃんと食べられるかどうか。水分が取れて食べられれば段々回復して行く。床についてしまうと入る量も減るので悪循環になる

眠りが浅い、というスタッフからの報告への答え。

昼ちゃんと起きていないからです。この上夜ぐっすり寝ると下手すると危ない。普通睡眠時間は一日の4分の1ぐらいです。高齢者になればなるほど睡眠時間は減る。

ここで父が『はっはあ〜〜』と大きな声を出したので、診察室で皆が笑いをこらえる。いかにも聞いていて理解できているかのようだ。父は引き続き会話に加わろうとする。

  昼間ウトウトする時間が増えて6時間になると、夜はゼロ時間になるのが普通です。昼となく夜となくというのが正常だとは思うが、これで昼間ベット上の生活が増えてウトウトしている時間が増えたら、睡眠がシフトしているというだけです。今は睡眠にはこだわらなくてもいいです。

CT検査技師のおっちゃん感じ悪かったでぇ
もっと高齢者に優しくしてくれんかぁ?

時間の感覚がなくなっていると思う。夜は夜だと思っていないのでしょう。何を優先するかといえば、できるだけ起きるようにする、できるだけ食べるようにするということです。日中は座らせること、手引きで歩かせること。体力が落ちてしまっているので前と同じにすることは無理だろうが、食卓に連れて行く、離床時間は従来よりは短くするがこまめに起こすようにして様子を見る。

意識レベルを上げて、今の状態から引き上げるようにする。このままでは食べられないし、悪循環で負の連鎖が起きる。脱水が進む、脳の循環が悪くなる、さらに意識が曇る。せん妄がふえる。昼と夜がわからなくなる。悪循環でどんどん弱って行く。

離床の拒否が多いというスタッフからの報告。

離床は無理のないように、楽に過ごしてもらわないといけないが、だからと言ってどんどん弱らせてはいけない。ご飯は起こして食堂で食べてもらう、ということをできるだけ追求してはどうでしょうか。
                  
後ろに倒せる車椅子
どれだけ起こしてどれだけ寝たらいいのですか、というのは臨機応援にしましょう。こういう状態は熱を出しやすいし誤嚥しやすい。(車いすを倒した状態の姿勢を見て)この姿勢だと唾液で誤嚥する。小さなレントゲンには写らない炎症が起きる。そうすると熱が出やすい。そこから悪循環になっていくでしょう。

これで元気になっていくかどうか。元気になれないとじり貧になっていく。やるだけのことをやってダメだったらそれはそれで覚悟をする。下降線を辿って行きます。寝込んでしまってからは本当に急激でした、ということはよくある話。寝込むというのは色んな意味で条件が悪くなって行くということです。

誤嚥の反復、臥床が多くなる、臥床したままで食べようとすると詰まる、肺炎になる。肺炎になると病院に居場所を移す、一気にがくっとくる。一回の肺炎は治るが、1ヶ月ベットの上で点滴だけで生活をすると、食べるのがむずかしくなる。次の段階は胃瘻になる。そうすると一気に、という展開になる。

最後のチャンスですね、まずは離床させて食べさせる。悪循環に入ってまだ1ヶ月なので取り戻せるかどうか、というところです。しかしやっぱり表情が変わってしまっている、やつれたのは間違いない、体力は10月と同じではないということです。戻れるかもしれないし、戻れないかもしれない。年齢が91歳なのでこういったことから悪循環に入って行く。そういう一つの山場に来ているんだという理解でいいかと思います。

もう一回元気になれるチャンスをできるだけ探ってみましょう。それが どうしてもうまくいかなかった時は、できるだけのことはやった、ということですね。

最近の父とは会話が成立しないことが
多かった
いつものことながら、お見事と言いたい診断だ。やっとクリアな答えが出たことに安堵した。何が原因だったのか。どうして父は突然変化したのか。森先生の理路整然とした一㍉の迷いもない明快な答えを聞いたので、これからの指針が見えた。これで父が回復できなかったとしても、仕方ないと覚悟を決められそうだ。

明日はホームのケアマネに今日の診断をもう一度確認し(相談員、看護師、スタッフが同行してくれた)、できるだけ離床し飲食量を増やすことを目標にしていきたい。

それにしても、今月の中旬にサンノゼに帰ってしまってもいいものなのだろうか。それとも12月まで滞在を延長するべきなのか。あるいは、一度帰って12月にまた来る?いや、いくら日米往復が余り苦ではないとはいえ、時差ぼけは身体にキツい。

いやいや、やっぱり再来週帰国して、もう一度12月に来るのがベストだろうか。ならいつがいいのか。初旬?中旬?それともホームのスタッフに任せられる?一体どうしたらいいのか。わからん。

ゼリー粥を食べたがらない父
練り梅とふりかけを買ってスタッフに預けた

森先生の答えがほしい。