2014年7月16日水曜日

あっさり顔

約束通り父にはそうめんを持って行ってあげた。めんつゆとすだち入り。すだちは何もかもをおいしくするようだ。サンノゼで木を植えることはできないのだろうか。

すだちを入れたそうめん
最高

父の洋服は昨日食べ物のシミなどでグチャグチャに汚れていた。今日もそのままだ。夜着替えてないのか、あるいは朝同じものを着るのか。パジャマに着替えさせながら、昔の話をする。父は母親に叱られたことがない、穏やかで冷めたような人だった、などと話す。『人に歴史あり』などと言う。が、野菜の名前を思い出せるだけ思い出す、というクイズには答えられない。散々考えた末、『人参』が出ただけだ。

おいしいおいしいと
食べる父

ホームを出る直前に、受付に座っているI君とすれ違ったので、あ〜、お久しぶりですとお互いににこやかに挨拶した。ホームには30歳前後の職員が多いのだが、このI君は圧倒的な存在感を放っている。何故ならハンサムなだけでなく、性格の明るさ、優しさ、思いやりが全体ににじみ出ているからだ。父に幻覚症状が出て大通りまで歩いて行ってしまった時も、このI君は危険を顧みず車から父を守ってくれた。

昨日からこの状態

去年長男が来た時も、日本語を話せない長男と『ナイスミーチュー』なんて言いながら意思の疎通を図ろうとしていたI君。ホームでは本当にありがたい存在だ。

今ならこうして顔だけでなく性格もちゃんと見て、その人全体を評価する。若い頃は顔のみに集中して男の子を見ていた。とにかく昔から大沢たかお系というか、あっさりした一重の目の顔が好きだった。

中学2年の時の初恋の相手石田君も、ハンサムではなかったがまああっさり系の顔だった。この子とは学級委員を一緒にしたことで、仲良くなり交換日記などしたが、当時の遠足前に撮ったクラス写真を見ると笑える。石田君は私の3分の2ぐらいしかないのだ。なにしろ私は中2の時点で165㌢あった。背が低いかわいい女の子たちがうらやましくて仕方なかった。小学6年生の時には160㌢を超えていたのだ。それが恥ずかしくていつも背を丸めていた。

このクラス写真は皆遠足用の運動着を着ているのだが、私はどう見ても引率教師にしか見えない。背が高い分顔も老けているように見える。隣に座っている松本さんなんか私の半分だし、顔もあどけなくて私とは親子のようだ。石田君は母親を求めていたのだろうか。

次に男の子と付き合った(手も握ってない)のは高校2年生の時。西田君は、今から考えると中田英寿に似ている。丸顔の中田英寿というか。勿論中田ほどかっこ良くはないが、やはりあっさり系の顔だ。

『深夜特急』時代から好きな大沢たかお

サッカーをプレーしていた頃は
知らなかった中田英寿

いやいや、初恋は中2の時ではなかった。思い出した。小学4年生の時に転校してしまった藤原君だ。しかし、藤原君は甘い顔立ちで目のパッチリした、背の高いハンサムな子だった。クラスで一番背の高い男の子なので、同じく一番背の高い女の子だった私といつもペアを組まされた。だから一番の仲良しで、転校してしまう時は本当に悲しかった。

藤原君は最終日、『記念に』と鉛筆をくれた。消しゴムのついてないトンボの深緑の鉛筆。お返しに何をあげようか、と迷っていたら藤原君は『髪の毛を一本くれる?』と言うのだ。長い髪を一本抜いて、藤原君にあげた。藤原君はちり紙(その頃ティッシュという呼び名はなかった)に包んでランドセルに入れた。今考えると何だかちょっと色気のある行為ではないか。当然その時はそうは思わなかったが。髪の毛をあげた記憶と共に、きれいな顔の藤原君のつぶらな瞳はいまだに覚えている。

何年もたってからその事を思い出し、母に聞いたことがある。藤原君を覚えているか。

母は覚えていた。そして言った。『ああ、あの渥美清そっくりな子ね。』

原点はここだったのか