2014年6月30日月曜日

車を売る

次男の車が不要になった。サンフランシスコでは車は必要ない。駐車料金も高い。あれば便利だがなくても充分生活できる。だから売ることにした。

こちらで物を売買する時はCraig's List(クレッグズリスト)というサイトを使う事が多い。不要のコンピューター、家具、楽器、ルームメイト募集、売り家、借家、ペットなどなど何でも売り買いするサイトだ。

次男がこのクレッグズリストに広告を出した。2001年BMW。エクステリアは白、インテリアは黒(珍しいコンビネーション)。マニュアル車。走行距離224,222㌔m。事故歴なし。インテリアに穴、汚れ、傷なし。特別仕様リスト。6800㌦。値引きなし。と説明文には書いてある。極端な値下げ交渉はしないでください、とも書いてある。日本語で言うと長いが英語だと、No low baller, please.だ。こう書いておかないと4000㌦で買いたい、なんてメールがどんどん入って来る。

近所の公園で写真を撮った
他にも内装など5枚広告に載せる
ざっと調べてみたところ、日本での同じ車の査定価格は10万㌔の走行距離で10万円ぐらいのようだ。だからその2倍以上の走行距離の車を7倍の金額で売ろうとしている、ということになる。アメリカには車を買ったら20万㌔や30万㌔ぐらい走るまで使う、という人は多い。我が家もそうだ。

新しいBMWは勿論高いが、これは中古で買って中古で売るので、バイヤーは3人目の持ち主となる。だから、次男がこの走行距離で6800㌦で広告を出したことにはびっくりした。さすがに車は古いしそんなに価値があるようには見えない。

アメリカで自分の車を売りたい場合、中古車ディーラーに持って行って買い取ってもらうことはできる。が、その場合は勿論安く買いたたかれる。だからクレッグズリスト、eBayなどのサイトが大活躍する。特にクレッグズリストは仲介料が発生しないのだから、売る方も買う方も得する。

考えてみると今まで何度こうして車を売りに出したことか。そのうち2度は忘れられない事件があった。1度目は20年以上前にトラックを売った時だ。確か1500㌦ぐらいで出したのだった。アジア人の男性が3人でやって来た。試運転をしてみたい、と言う。この3人はどうも人相が悪い、というか余り態度がよくない。我が家の前庭でタバコを吸ってポイ捨てしたり。まあ、いいだろう。その辺を走ってみてください。

我が家は車を置く場所が狭い
こうして車庫扉ぎりぎりまで
鼻先をくっつけて駐車していた
3人は自分たちの車を置いてトラックに乗り込んで去って行った。さて、1時間たっても2時間たっても帰って来ない。普通試運転というのは長くても20分だ。盗まれたのだろうと思い警察に電話した。が、警察だって今の時点では何もできない。

3人が帰って来たのは2時間半たってからだった。こちらの文句にもニヤニヤするだけで動じない。この3人はどうやらトラックを使って一仕事してきたらしい。つまり自分たちにトラックが必要な理由があり、そのために我が家のトラックを使ったのだ。3人は『試運転してみた結果ほしくない。』という理由をつけて去って行った。

これ以降試運転してもらう時は、一緒に車に乗り込んで行く事にするか、信頼できると思った人の場合だけ、車を置いて自分たちだけで行ってもらう事にした。

2度目の事件は夫のアホさから起きた。なにしろ夫はウソというものがつけない。思っていることが全て顔に出る。悪意のない失言も多い。

バイヤーは自分の車を置いて
試運転に行く
車を売る時は勿論『車の問題は全てお知らせします。が、中古車ですので、あなたが買ってからの問題に関しては責任を負いかねます。』というのが基本的な姿勢だ。私たちが車を売る時は、修理して故障がない状態にしておく。その上それまでどんな問題があったか、どういうお店でいくら払って修理したか、という記録を全て印刷して渡す。だから問題はないはずだ。

この時売ったのは4ドアセダン。バイヤーはイーストベイの高校の校長先生とその奥さんだった。夫婦で「問題はないんですね。本当ですね。」と何度も聞く。余りにしつこいので、夫は夫婦に向かって「問題は全くありません。あれば返品してください。」と口をすべらした。横で聞いていた私は「アチャ〜。」と思った。それは中古車を売る際絶対言ってはいけない。禁句も禁句、トップクラスの禁句だ。

説明、交渉、試運転、書類手続きと車の売買は時間がかかる。バイヤーも延々と悩んでやっと決めてくれる。そのあと、やっと売れたと思っているのに返しに来られる、なんて最悪のケースだ。

当然彼らは1時間後に電話して来た。「返します。」だ。

この時は問題があったわけではなく、買ったあと奥さんの方が『やっぱりこの車よりも他の車を買った方がいいんじゃないか。』と思い始めたのだ。Buyer's Remorse(バイヤーズリモース)という買ったあとの後悔、つまり高額の購入をしたあと『これで良かったんだろうか。』と思い悩む、よくあるバイヤーの感情だ。

何度か電話で話した結果、校長先生の方が奥さんを説得して、無事返品には来なかった。

取引は現金か銀行発行の小切手
こんなに多額の現金を見たの初めて
夫の妹に至ってはもっと大変な事件があった。車を売りに出した時、試運転に来た男性が『試運転の間は、自分の車をあなたの家の前に置いておきます。』と言って義妹の車に乗り込んで走り去った。家の前には彼が乗って来た車が置いてあるのだから大丈夫、と思っていたが、実はその車の中にはもう一人の男性が隠れていたのだ。隠れていた男性が乗って来た車を運転して去ってしまった。

これは後に犯人が見つかったが、こうして車を自分で売るというのは大変なことなのだ。

今回車を見に来た親子は一目見て気に入って言い値で買ってくれた。高校を卒業したばかりの息子が広告の写真を見て恋してしまい、どうしてもほしいと思ったということ。これはとてもラッキーだった。

次男はこの車をオートショーに出したりしていた。この車につぎ込んだ時間と労力はかなりのものらしい。思い入れのある車。思い入れがあるからなかなか売らなかった。でも、この車が現在の仕事につながっているとも言える。この転職についてはまたゆっくり書きたい。

ところで車が簡単に売れたことに気を良くした次男が将来ほしいのはこれ、と写真が送られて来た。また中古で買うそうだが、写真を見て『アホか』と思う。

若いのう