2014年1月16日木曜日

仁和寺

昨日は森先生の診察のあと一緒にホームに戻って昼食のあと、しばらく父が喜びそうな話をしてみた。父は義理の息子(つまり私の夫)が大好きなのである。多分日本語ができる男だったら息子のあらを見つけて文句を言ったかもしれない。が、義理の息子は英語しかしゃべれない。だから、父のお気に入りなのだ。

父は義理の息子が大金持ちだと思っている。何故なら娘が何度も日米往復できる財力があると思っているからだ。日米往復はマイレージを使うことが殆どだし、別にお金持ちではない。決してない。が、父はそう思うことでとても幸せらしい。だからそう思わせておくことにしておく。

そんな話をしていると父はドーパミンが出始めて顔が輝く。夜父と会話すると疲れているせいか、このところ余り話がはずまなかった。が、昨日は違う。森先生の所に行って話したことで、少し覚醒したのかもしれない。

夫は今年の春に日本に来る予定だ。どこに連れて行こうかと父に聞いてみる。仁和寺がいい、と父が言う。

父は思い出す。仁和寺に行って桜を見た時びっくりした。池のほとりに咲く御室桜の美しさを見て、天下に及ぶものなし、と思ったと言う。自分も一緒に行きたいとまで言う。

仁和寺は紅葉もいいですがね
1時間ほど話したあと帰ることにした。父に、今晩は来なくていいか、と聞いてみる。勿論いい、と明るく応える父に、明日の夜また来ると言いながら帰ることにした。スタッフの二人にも頼んでおく。毎晩来るという習慣を変えたいので、今日は夜来ません、何かあったら連絡ください、と。

スタッフは、明るい顔で大丈夫ですよ、頑張ります!と言ってくれた。が、十中八九無理だろうな、と思った。

案の定夜7時半にスタッフから電話があった。やはり少し興奮した父の声が背後から聞こえる。スタッフに、どうしても今日中に娘に伝えたいことがある、家族内のことなので娘が来ないと伝えられない、と言っているらしい。姉が行くことになった。

姉が着く頃には父は穏やかになっていたらしい。一日でもホームに家族が行かずにすむ、という日が作れるようになるのだろうか。それともこれから事態は悪化するばかりで、そんなことは望めないのだろうか。

ところで仁和寺って池あった?